第11話『結界』
「うわぁ…守りガチッガチだぁ」
「こんなヤツら俺が魔法使ったら一発だぞ?」
「いやいや…それやったらボクら犯罪者だから」
「それもそうか」
俺と白炎はメルタ渓谷道中にある落岩をどかしてもらうため、メルタタウンの領主邸近くまで来ていた。
「対魔法結界に対物理緩和結界…。なかなか高度な結界が張ってあるな…流石領主様」
なんて白炎が皮肉を交えながら結界の解析、解除を試していると町の方から声が聞こえた。
「アル様ぁ…ぜぇはぁ…何してるんですかぁ」
「お、メイ」
呼んでないはずのメイとルナが合流した。
もしや、と思いルナの顔を見ると
「アル、殴り込みはやめようね?」
と言ってるような顔が見えたので「ごめん」と心の中で謝る。
だが顔に出ていたのかルナはキョトンとしたあと「じゃあ後でアイス奢ってね」みたいな顔をした。
え?アイス奢ってねみたいな顔って何?と聞かれてましても…。
「うん、解析はできたけどこれは…」
と白炎が結界の解析が終わったのか俺たちを手招きしたので移動する。
「結論から言おう。これはある特定の条件下で使用するとこのできる上級結界だ」
「上級結界…条件が使用者にとって重い割にはその本人にメリットがないことで有名な…」
「あぁ、メイの言う通りこれは本来ほとんど使用されることがない結界術だ。そしてこの上級結界の条件にはある共通点が存在する…」
「結界外にいる…ですね」
「そうだ。だからこの辺を歩き回ればいいのだろうがおそらくこれは…」
とそこで白炎は口を噤んだ。
それはおそらくは一つの意味をもたらしていた。
「これは、使用者が生贄となって完成する上級結界…解除するには解析しかない」
◈◈◈◈◈
解析…言うのは簡単だ。
だが、これはただ解析するだけじゃ解除することができないタイプの結界。
…本来、使用者が生贄になることで完成する結界というのは永続性が高く、そして脆い。
だがそれは「一人」だけだった場合。
これは、おそらく100人程の人間が生贄になっている。
…この町、メルタタウンにはつい最近、100人ほどの男性が鉱山で死亡したと聞いた。
そう、これはボクの予測が正しければこの結界は…。
これをメイ、アルそしてルナ…マスターに言うのはやめておこう。
ボクが、ボク一人だけが真実を知っていればいい。
ボクは彼らの手を煩わせないために強引にでも護衛役に買ってでたのだから。
◈◈◈◈◈
「どうする、白炎」
「…解析に時間を要するので待ってさえくれれば10分ほどで終わると」
「よし、その辺見張っとくわ」
「お願いしますね、アルさん」
「任された」
白炎と話し合ったあと、俺は周りに敵がいないか見張ることにした。
「まぁ領主邸の人間にはバレてそうだが」
少し離れた所に移動したとはいえ、監視の目は十中八九あるだろう。
敵がくることを前提に動かなければならない。
「にしても、渓谷の上って何もねぇのな」
「えぇ。わたくしが全て破壊しましたもの」
「ッ!!」
気づかなかった!一体いつから…。
「一体いつから…ですか。フフッわかりやすいこと」
読心術!?それにこの気…こいつは…何者だ?
「…わたくしはラヴクラフト様率いる人造神話『クトゥルフ』が一柱、『大気』イタクァ」
クトゥルフ!?てことは…
「ええ、あなたがこの世で一番妬む男…恋作がこの件に関係しているわ」
「恋…作ッ!」
「おっと、わたくしがあなたの前に現れたのはわたくしの独断…だからあの人は今関係ないわ」
「…何が言いたい」
「あなたたちを殺すわ」
…は?
「まずはあなた、次にルナって子を…」
「…第一下級炎魔術『火球弾』」
俺がそう呟くと火の玉がイタクァの周りに展開され、突っ込んでいく。
だがイタクァはそれを風ではらった。
「は…?」
「驚くことも無理ないわ。わたくしは大気を己の手のように足のように扱うことができるのですもの」
とイタクァが言った後、手を銃のように構え、
「ぱぁん」と彼女が呟く。
死ぬ…?
本能でこの一撃が致命傷になることがわかった。
そしてすぐに魔法を展開する。
…第三高等龍魔術『森羅万象を守りし巨盾』。
この間、わずか0.01秒。
「くっ!」
威力は相殺できたのだが反動で後ろに吹っ飛ぶ。
無理だ、これ…。
「はぁ…はぁ」
「もうギブアップなの?」
この女、強いの次元じゃねぇ…。
いや、そりゃそうか。
神を殺せるのは『神具』のみ。
今それを所持している月下竜団の仲間は…いや、まだ『覚醒』していなかったな。
あぁ、終わるのか…俺の人生。
◈◈◈◈◈
「…アル?」
「どうしましたか?ご主人様」
私の本能が
「何か、嫌な予感がする」
そう告げる。
「アルが…死ぬ…?」
私の左目が疼き始める。
痛い痛い死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
…でも、アルが…。
動かないと、動け!足!
怪我なんて!治れよ!なぁ!大切な人を!
もう、失いたくないんだ…!
——『神具』左神眼・-月詠命-『覚醒』。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます