第16話・人間がサルのマネをしているのか……サルが人間のマネをしているのか?
セシル・リデルは海上を走るホウキで疾走して、氷山が浮かぶ氷の海へやって来た。
氷山の上には、ペンギンたちが村を作って住んでいた。
氷山がある海の海面には平らなテーブル氷山が浮かんでいて、パンダ模様のシロクマたちが住んでいた。
テーブル氷山の上に上陸したセシルに、氷の上に座り込んだ『パンダシロクマ』が嘆いた。
「わたしは、こんな模様です……よく、パンダと間違われます。白黒をはっきりさせた方がいいのでしょうか? シロクマかクロクマのどちらかに?」
少しだけ考えてセシルが答えた。
「白地に黒でも、黒地に白でも別に白黒つける必要ないんじゃない……パンダがパクったなんて文句言ってこない限りは、それでも気になるなら白でも黒でもない、中間のグレー色になれば」
「なるほど、これからは灰色のグレークマになります」
セシルは氷山の山を見上げる。
山の上から次々とペンギンが、氷の断崖からダイブしてきた。
よく見ると、後ろから押されてペンギンたちは、落ちてきているようだった。
「やめろぅ、押すな! 落ちたくない! 最初に落ちるのはイヤだぁぁ、うわぁぁぁ!」
最初に落ちてきた数匹は、海面で待ち構えていた怪魚の開いた口の中に落下して、呑み込まれていた。
セシルが落ちていくペンギンたちを見ていると、テーブル氷山に下から穴が開いて、中から潜水服を着た『海ザル』が氷の上に上ってきた。
潜水服のヘルメットを外したサルが言った。
「酷い話でしょう……ペンギンたちは、誰も最初の犠牲者になりたくないから、弱者を突き落として怪魚のエサにする……怪魚が腹いっぱいになったら、悠々と飛び込んでエサを漁るつもりです」
サルがタメ息を漏らしながら、セシルに訊ねる。
「わたしの悩みを聞いてもらえますか……わたしは、突き落とされて魚のエサにならずに溺れているペンギンを助けるのが仕事です──こんな仕事、誰が感謝してくれるんですか? サルが人マネをしているのか、人がサルマネをしているのか? どちらだと思いますか」
セシルが答える。
「人間にバナナを渡して、クキの方から皮を剥いて食べればサル……バナナのお尻の方から皮を剥いて食べれば人間」
「わたしは、お尻の方からバナナの皮を剥いて食べます……わたしは、人間なんですね、悩みが消えました……人間だから悩んで当然なんですね……ウッキーッ」
潜水サルの悩みを解決したセシルは、またホウキに股がって去って行った。
次にセシルがやって来たのは、砂漠だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます