第7話・七色の虹のスープは甘口?辛口?酸味?〔ようこそ不思議の世界へ・章ラスト〕

 セシルは、タマゴ王女が待つ城へともどってきた。

 セシルがもどって来ると、城ではネズミを空中に火薬で打ち上げる、盛大なネズミ打ち上げ花火でセシルを祝福してくれた。


 空中でクルクルと回って落ちてくる、ネズミ花火を見ているセシルに王女が言った。

「無事にもどってきましたね……それが、虹の欠片ですか、キラキラ輝いていて綺麗きれいですね……さっそく、お父さまに頼んで虹のスープにしてもらいましょう」


 城の食事会が開催されて、奇妙な料理が次々とセシルの前に運ばれてくる。

 泣きウミガメの香草丸焼き。

 グリフォンもどきの手羽先。

 雄鶏のトサカ料理と、サーモンと熊の煮込み料理。

 食べられない見るだけの蝋細工料理……などが、テーブルに運ばれてきた。


 最後に、氷の中にナースナの切り身が入った、虹のスープが運ばれてきた。

 氷漬けのナースナは、スープの味を薄めたり冷やすことはなく、隠し味の旨味だけを氷の中からスープに出していた。

 七色に輝くスープは、色ごとに味が異なっていた。

 セシルは、スプーンで紫色の部分をすくって味わう。

「不思議な味……少し甘いかな? ブルーベリージャムみたいな味」

 セシルが虹のスープを食べていると、壁に逆さまの扉が現れた。

 それを見たセシルの顔をした、タマゴ王女が言った。


「セシルの世界へ繋がる扉が現れた……これで、お別れね」

「また、会えるかな?」

「会えるかも知れない、会えないかも知れない……未来は形が無いモノだから」

 椅子から立ち上がったセシルが、扉に近づいて取っ手に手をかけようとした時──城の窓から、ベジタブル野菜で出来たドラゴンが、飛び込んできた。


 さまざまな野菜が顔と体になったドラゴンが、城内を飛び回りながら悲しそうな声で言った。

「誰か教えて、ボクっていったい何なのかを……ボクはどうすればいいのかを? 教えて」

 扉を開けようとしてやめた、セシル・リデルが答える。


「あなたは、あなた……世界で一つだけの存在」

「君は自分のコトがわかっているの? 自分がなんなのか説明できるの?」

「あたしは、あたし……世界で一人だけの存在、あたしも時々は自分のコトがわからなくなるけれど……あたしは、あたし」

「そうか、ありがとう……ボクはボクがなんなのか理解した……ボクは食材だった」


 ベジタブル野菜・ドラゴンの体が個別の野菜になって城の床に転がる。


 微笑んだセシルは逆さまの扉を開けて、自分の世界へ帰って行った。

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