2回目

いつかの某日。

2度目のリアルミート&グリート。


この日は天気が悪かった。

小雨だったが、やたらと風が強く、髪が乱れ放題。

せっかく対面するというのに、ボサボサ頭で対面するのは恥ずかしいし、申し訳ない。

なので、到着してからすぐさま髪型を整えた。


到着前、電車内で緊張の解し方を調べる。

事前に調べた“上手く話す方法”や“言いたい事を纏めた台本”のようなものを見返した。


列に並ぶ直前、緊張を解す方法を実践したら余計に緊張してる気がした。


荷物を置くことに手間取り、既に自分の番が来ており、待たせてしまった。

掌のチェックの際に、ふと前を見ると彼女と目が合う。


(か、可愛い…!顔ちっさ!)


意識というか、気持ちというか、文字では表現しづらい何かが前に出ている感覚がしたが、何とか用意していたセリフを吐き出す。


「顔が好きです」


もちろん、これ以外にもいくつか言えて、反応も貰えた。

伝えたい事はほとんど伝えられたと思う。

仕様が異なり、前回よりも長く話せた。

終始微笑んでいて、「嬉しい」と喜んでくれる。


開始前に目標としていた、“手を振る”行為を彼女の方から行ってくれて、振り返すことが出来た。


記憶が鮮明なうちにすぐさまメモを取り、記録。

しかし、やはり顔から下の記憶がない。

近づく直前にも見たはずなのにどんな服装をしていたのか、一切覚えていないのだ。

目だけは見ていた記憶はあるので、それ以外をまるで見ていないことがわかる。


翌日、冷静になって思い返すと、顔が小さいとか華奢だった姿が瞼の裏に映し出される。

そして写真を見るだけでこんなに可愛い人と話したのかと再び驚く。


次もまた話したい。

次もこれくらいの長さなら良いのにと思った。

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