第02話 教育の始まり

[newpage]#01 桃栗三年柿八年、季節の記憶文明である

 季節の移り変わりを、数えて子孫へと伝えていく、神話伝承の流れが、最初が「桃栗三年」「柿八年」「柚子18年」「蜜柑20年」「林檎25年」「銀杏30年」と、幾つもの伝承が、日本各地で伝承されていったのだと考えられます。記憶から、記録に移ったのが、奈良時代から、平安期とされます。


「桃栗三年、柿八年」は、最初の子供が知っておくべき、基礎教育であった。また、記録文明ではなく、記憶文明であったことが、日本の縄文期が知られていない理由だったりします。


 記憶は、親から子へ、子から孫へと、伝承される文明の発露であり、縄文期の環状列石は、季節の移り変わりを示すための道具であったと言われています。一年という周期をどのように数えるかは、記憶として伝えて、道具で補足するということになります。


 当たり前ですが、平たく整地した開放空間に、柱を建てれば、日時計になりますから、一日の移り換わりを示すことができます。また、天空の月は、新月から三日月、上弦月、満月、下弦月、新月と29日と30日周期で、変化して干潮と満潮を示す基準ともなります。


[newpage]#02 教育は、覚えることに始まる

 記憶文明では、当たり前ですが、すべて覚えなければなりません。日本の記憶教育が、伝統的に推進されるのは、記録は失われるし奪えるが、本人の記憶は奪えないということがあります。


 明日、電気が消えたら、インターネットもスマフォも、一ヶ月で使えなくなります。多少延長できても、10年で消えゆく記録となります。すべての記録が消え去っても、自分の記憶は、最後まで残ります。最後まで残る資産である記憶に、保管された知識が、最後の資産ということになります。


 日本では、一年の変化が、夏は暑く、冬は寒い。春夏秋冬の四季に分け、季節の廻りが、日ノ本の一年を示すことができます。


 一ヶ月の変化は、新月>上弦>満月>下弦>新月と、天空の巡りが、月に表示されています。月齢の周期が、約29.5日ですが、一年のサイクルで、周期が29.3-29.8日と変わっていきます。(国立天文台Webページ)


 一日の変化は、太陽の変化であり、日の出から、日の入によって、一日の周期が確認できます。整地された開放空間で、木の棒を立てて、日周変化を示せば、影の一番短くなるのが、正午ということになります。古代の環状列石が、一般化して、庭に棒を立てるだけになれば、誰でも確認できることになります。

 正午の影は、季節で変化し、一番長くなる夏至、一番短くなる冬至、日の出から日の入が一日を分けるのは、春分と秋分になります。春分から秋分までが、約186日であり、秋分から春分までが、約179日である。


#03 暦の記憶が、歌で記憶する。

 「八十八夜」は、茶摘み歌に記述される、日数である。これは、お茶の葉を摘むのに適した、立春から数えた日数を、歌にして残したことになります。様々な栽培植物の収穫期を記憶する手法として、歌が用いられていることになり、日数を記憶することが、重要になります。


 花の開花は、気温の変化と日照時間数によって、花の開花時期が変わります。日本人は、梅の花が咲いて、冬の終わりを知って、桜の花が咲いて春の訪れとなる。


 詩で伝承することで、記憶による継承が進んでいく、だからこそ児童詠唱歌わらべうたというのは、一度は聞いておきたい歌となります。


 記憶の時代は、奪うことができないから、地元や地域の伝承が残っていきます。ただし、記憶だけでは意味がなく、記憶には、どのような意味があって、なんで役に立ったのかを、遥かなる祖霊の記憶からの流れを含めて、


 記憶から記録への変化は、奪えない記憶から、奪える記録への変化であり、上層部の示唆によって、変化していく世界ということになります。異世界チートで、記憶からの内政チートという話がありますが、記憶の意味を知らなければ、チートにはならないのです。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る