Voyager
エリーゼ
第1話
2025/7/20 20:42
「えー、続きまして16歳女の子『ゆず』ちゃん。いいねおしゃれ〜名前」
え、読まれた…?読まれた!?こよみんに?
「えー『私は今年の春から高校二年生になったのですが、勉強の難易度が格段に上がったり、部活でも副部長に就任し先輩として後輩に指導していく立場になったり、正直大変です…わからない単元が出てくる度自分って頭悪いのかな…って思っちゃったり、部活でも自分の出す方針は本当に合ってるのかとか自信がなくなったりして、これからやっていけるか不安です。たまに私が悪いのかな…とか考えたりもします。』そっかもう七月だもんね。俺も高校生のときバレー部だったんだけど結構メンタルきつかったね。」
そうなんだ…こよみんの高校も三学期制だったのかな?ってかこよみんバレー部だったの!?
「…ん、えなになに皆どしたコメ欄。えそうだよ?バレー部バレー部。…あれ知らなかったっけ皆!?えごめんとっくに言ってると思ってた…あ演劇の方だけか言ってたの!ごめ〜ん勘違いしてたわ。実は兼部してたの、俺」
初耳〜!!こよみんがバレーもやってたなんて…メモっとかないと。
「んー最初に言っておくと、俺はぜーんぜんゆずちゃんは悪くないと思う。そういう心の動きって自然になるものだし、勉強難しくなったり部活の体制が変わったりとかで環境が変化すると結構心も疲れちゃうんだよね…急に話変わるけど、俺いつも思ってることがあってさ。人の心って、一本の細長いアンテナみたいなものだなって最近思ってて。いろんな感情を受信する。嬉しいこととか、悲しいこととか、ムカついたこととか、そういうのを外から受信して、態度で発信する。つまり俺たちの身体が感情表現をするためのデバイス。『幸せなら手をたたこう』じゃないけど(笑)、そういう感じなんじゃないかなって勝手に思ってます俺は。だから別にゆずちゃんの心が弱いってわけじゃないと思うよ?だって俺も結構誹謗中傷とか気にしちゃうもん。でもそういう自分の弱さとか、嫌だった経験とか、そういうのも積み重なって今の自分を形作ってるんじゃないかなって…俺はそう思ってる。良い思い出だけじゃなくて、自分が目を背けてきた部分。そういうのも全部認めてあげてほしいなってなんか勝手に思った(笑)。そうすればきっとどこ行ってもありのままの自分でいられるんじゃないかな。まあ何が言いたいかって言うとゆずちゃんの『自分らしさ』、これさえ失わないようにしてればきっと道は開けていくと思う。大丈夫自信持ってゆず!ファイト〜!」
有名インフルエンサーこよみんこと「暦」様がお便りを読み終えると同時に大量の涙が滝のように頬を流れ落ちる。部屋中に響く私の泣き声がスマホの中にいるこよみんの声を掻き消した。
「もうマジでこよみん大好きありがとう神様…!!」
私は県立美由西高等学校二年生であり、こよみんのファン、通称『Voyager』の一員である咲良結珠。只今私はこよみんの活動一周年記念ライブでお便りが読まれて舞い上がっている!
こよみんはもう、ほんっと銀河一優しくて超絶ぱないお兄様〜!って感じ!まじで雲の上の存在過ぎて吐血しそう…
でもここ最近一つ思っていることがある。こよみんをどこかで見かけたような感じがしてる。一瞬じゃなくて、ずーっと私の身近なところにいたような感じ。そんなわけないのに、不意に思ってしまう。
うーん…と?何だこの感じ。まあいっか!
「結珠、ご飯できたよ〜」
お母さんの声が聞こえると私はスマホをポッケにしまい一階へ降りた。
「ママ!あのね、こよみんがね!」
食卓はその夜、こよみん一色になった。
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