ひと夏の逃避行

藤間あわい

ひと夏の逃避行

ずる休みカフェへ訪れ向く視線今日は優しい「あ、夏休みか」


教室を抜け出し坂を思い切り下るとあらわる極彩色


「お弁当、置いといたから」冷えた声 夏は聞かずに済むから好き


制服に身を包まずにいられたら一人海にも足を伸ばせる


灰色の息が苦しい箱の中ガラスの外が私の酸素


真夏にはアイスクリームを食べよう口に運ぶひんやり異世界


ジージーと鳴く蝉のようにさ私だって夏に散ってしまいたい


ぐちゃぐちゃな私の気分と裏腹に夜空に咲く花火が綺麗


シンデレラはガラスの靴を見つけたローファーでない煌めくサンダル


結局はまた学校へ向かうのさ檸檬でも置いて帰ろうか




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ひと夏の逃避行 藤間あわい @boctok2226

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