山中家を訪問したある霊能者の話
――ええ、東北の方から来ました。岩手の方です。ああ、ええ、イタコさんとは違います。こういうのは……イタコさんより、我々の方が適任でしょう。
――なんでって、おたくのお子さんから、メールをいただいたんですよ。山中さん。たいせいくんっていうお子さん、でしょう?だから来ました。……そりゃね、わたしも驚きましたよ。今時の子は、小学生でもメールを打つのかねって。親御さんが手伝ったのか知らんけど……って、あんたがたの反応を見ると、どうやらそうではなかったみたいだけども。へえ、自分のパソコンをね。ああ、年の離れたお兄さんがいて、ゆずってもらったんか。メールなんかもそのお兄さんから教わったのかね。いやいや、昨今の子どもたちはネットリテラシーとかSNSのトラブルとかあるみたいですからたしかに、やらせるやらせないは人様によって色々ご意見はありましょうが、まぁお父さんお母さん、今回は正解でしたと思いますよ。私もね、一体どうして子どもがメールを?なぜ大人が動かなかった?とも思ったが……まあ、大人は鈍いからね、仕方ないか。仕方ないね。そうでも思わんと、やり切れんね。
わたしはたしかに、YouTubeもやって、全国飛び回って、若い方にも知ってもらおうと色々やってますからね、たいせいくんの目に留まってくれたのなら、よかったですよ。まあ……ちょっとばかし遅かったようですがね。残念なことに。
――神主?地元の神社?何もしてくれなかったって?……ああ、あれはそこらの神主の手におえるものじゃないですよ。そんなに責めてやりなさんな。お祓いの真似事をしてくれただけいいじゃないですか。
学級新聞というのがあったようですね、学校の教頭が見せてくれましたよ。あまり時間が取れなくてね。見せていただけますか。
――ああ、そうね。これが大体当ってますよ。山から降りてきて人を喰らう。化け物、妖怪、怪異、呼び方は様々だが……そう。いつからいたのか、それはわからない。山にはこういうのが昔はもっといたもんです。大方、戦争の火にやられて大人しくなっていたんでしょう。
――あれは人の恨みつらみを吸収する。秋本という少年、よほど思いや執着が強かったんでしょうかね。それほどのことがあったのか。本人の資質か。その両方か。たまにいるんですよね、一つ一つの恨みに執着が非常に強く、ずっとずっと心の中に溜めて恨みをつのらせて、何年もたって報復するような人間が。そういう人間を人間がよってたかっていじめるなんて、愚の骨頂、最悪の展開だ。
――教師という人種は苦手です。まず我々のことを信用していない。心霊のことも受け入れようとしない。これだけ子供が変な死に方をしていてなんでって思うけどさ。まあ、教師に限りませんね。一般的に頭がいい、優秀とされる職についている人は大抵そう。医者や警察なんかもね。ほら、病気で亡くなった子もいたでしょう?あれも子どもは、他の子と同様に、体の一部が取られてることに気づいたようだが、医者らは誰も気付いちゃいない。自分たちの常識で病名を当てはめるだけで満足している。その説明を受けて学校も親も納得して終わってしまう。……自分の作り上げてきた常識から抜け出せない、あわれな連中です。
――そうですね、もっと早く大人が動ければ、違っていたかもしれませんね。……いや、お母さん、それは……あの日
――今回は火事でなんとか鎮まりましたがね、あれは手ごわい。いつまた復活してもおかしくない。この場所は未来永劫、禁足地として、絶えず火を燃やし続けなくてはなりません。そうでなければまた同じことが繰り返されるだけです。
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