第6話 大スターへの階段
レオンとアルフォンスの共演シーンは、視聴者の間で大きな話題を呼んだ。アルフォンスの演技は素人とは思えないほど自然で、レオンとの息もぴったりだったため、ドラマは大ヒットを記録する。レオンの人気は急上昇し、彼は一躍、日本で最も注目される若手俳優の一人となった。
ユウキは興奮を隠せない様子で、次々と舞い込むオファーをレオンに見せた。
「レオン!見たか、これ!ゴールデンの連ドラ、映画、CM…全部主役だ!すごいぞ、君は本当に本物のスターだ!」
ユウキの無邪気な言葉に、レオンは苦笑いするしかなかった。彼は、自分の才能が、王族として身につけた教養と、完璧な「嘘」によって支えられていることを知っている。
レオンは、大スターへの階段を駆け上がっていく。しかし、彼の心には常に、不安と葛藤があった。大スターになればなるほど、彼の私生活は注目され、王族としての秘密が暴かれる危険性が高まる。そして何より、彼の「嘘」に気づいているアヤカが、彼の苦悩を深く理解していることに、レオンは安堵と同時に、複雑な感情を抱いていた。
ある日の撮影後、レオンはアヤカに話しかけた。
「アヤカ、少し時間ありますか?…いえ、何もありません。ただ、少し話したくて」
レオンの言葉に、アヤカは微笑んだ。
「もちろんです。今日は、もう無理しなくていいですよ」
アヤカの言葉は、レオンの心に深く響いた。完璧な「嘘」を操る彼でも、アヤカの前では、何もかも見透かされているような気がした。
「この間、アルフォンス王子の出演したバラエティ番組を見たんです。レオンさんのお兄さん、本当にすごいですね。レオンさんと同じくらい、いえ、それ以上に才能があるんじゃないかと思いました」
アヤカは、アルフォンスを「お兄さん」と呼び、レオンの秘密を共有していることを暗に示した。レオンは、アヤカの深い理解に、胸が熱くなるのを感じた。
「ええ、兄さんは、僕とは少し違うんです。僕とは違うタイプの天才なんです」
レオンは、アヤカには嘘をつく必要がないことを知っている。
その時、レオンのスマホが鳴った。姉のエリザベスからの電話だった。
「レオ!今すぐ王室の公式SNSをチェックしてちょうだい!私、あなたのプロモーションのために、とっておきのサプライズを用意したわ!」
レオンは、エリザベスの言葉に、嫌な予感がした。彼女の「サプライズ」は、いつもレオンの「嘘」を窮地に陥れてきた。
レオンは、大スターへの階段を駆け上がりながら、同時に、彼の「嘘」の城が崩壊していく音を聞いていた。彼の秘密は、いつか世界中に知れ渡ってしまうのだろうか?そして、彼の「嘘」は、いつか真実へと変わるのだろうか?
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