第6話 水風呂と全裸説教
僕はうっきうきで、まだ誰もいない家に着いた。
今日は陸上部でタイムを更新できたんだ!
このまま行けば秋の新人戦のメンバーに選ばれるかも。
小さくダンスを踊りながら荷物を部屋に投げ込んでお風呂場へ。
バスタブに冷ためのお湯を張って、ポポイと服を脱いで飛び込んだ。
「くうううぅぅぅ」
冷たいけど熱くなった筋肉にすごく気持ちが良い。
頭まで潜り全身をくまなく冷やすのがこれまた良い。
夕夏の高いシャンプーとかをもらって、キレイキレイにしてお風呂を出た。
「ふんふーーん」
鼻歌交じりに髪を乾かして部屋に戻った。
時計を見るとそろそろお姉ちゃんたちが帰って来る時間。
今日はバイトも残業もないって言ってた。
「ただいまー」
思ってたら夕夏の声が聞こえた。
「おかえりー」
僕は部屋の扉から顔を出して返事をした。
「ただいま。もうお風呂入ったの?」
「汗かいちゃったし」
夕夏が確かにと頷いてる。
「私も夕飯作る前にはいろっかな」
いってらーと手を振った。
ご飯だけ先に炊いとこっかな。
台所の炊飯器にお米を多めに入れてスイッチオン。
僕が食いしん坊なわけじゃなくて、お姉ちゃん達の明日のお弁当用だから。
……おかわりは毎日するけどさ。
「ぎゃああああああああ」
お風呂場から豪快な叫び声が聞こえた。
それから凄い足音がこっちへ向かってくる。
「なんで水風呂なのよ!」
「あ」
忘れてた。
「心臓止まるかと思ったわ!」
肩で息をしてる夕夏。
んーと、あの。
「とりあえず服は着て」
ごめんだけど裸で怒られても、うん。
「勝手に見てろ!」
「見たくないからいってんの!写真撮って拡散するよ!」
「綺麗に撮りなさいよ!!」
私は少し困惑している。
仕事が早めに終わって家に帰ると台所で、妹ふたりが喧嘩をしていた。
しかも片方は尻やら乳やらまるだしで。
「おかえり!」
「お帰りなさい!!」
ぎゃあぎゃあと色々言い合ってる合間にお出迎えだけはしてくれた。
このくらいなら放っておいていいか。
いつもの見慣れた風景だし。
先にお風呂入ってよ。
怒る夕夏の後ろで真昼お姉ちゃんが、やれやれって感じで部屋に行ったのが見えた。
もーーー、お姉ちゃんに変なとこ見られたくないのに。
「完璧になれって言ってんじゃないの!もう中学生なんだから少しは変われっての!」
「あんただけには言われたくない!」
僕は絶対夕夏が中学生だった頃よりしっかりしてるもん。
「さっきのも一言いってくれてたら防げたでしょ」
「いい年してお風呂に飛び込むな!」
僕も夕夏も頭に血がのぼっちゃってる。
だめだ冷静にならないといつまでも言い合いしちゃう。
夕夏も言い過ぎてると思ってくれたのか、急に口数が減った。
うん、今日のは僕が悪い。
「でもごめん。ちゃんとしなきゃだった」
「私こそごめん。言い過ぎた」
ちょっと気恥ずかしくて視線を合わせれない。
「あ、あははは、とりあえず服着てこようかな」
「そ、そうだよー。もったいないから隠してよ」
と、その時。
「みゃあああああああああ」
お風呂から真昼お姉ちゃんの叫び声が聞こえた。
「あ」
「あ」
飛び込んじゃったかあ。
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