-Section1 true end- 未来

光なきホームに黒き少女の選択を迫る

声がただ響く。

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俺はどうしたいのだろう? 

どの選択肢も結局は虚しいだけだ。 

たとえあの取締役を破滅させたとしても、 

俺が辞めるかもしれないあの会社を潰しても。

仕事という生きがいを失った俺にとって

大して意味があるものとは思えなかった。

結局、もう全て捨てて楽になる事が救い

のように感じる。

それでも。

思った。あの栞という少女なら..

何か結論を出してくれるのではないかと。

もう一度会いたい。心からそう思った。

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「さあ、結論は決まったかい?

こちらも悩んでいるあんたの面は面白いが、

そろそろ飽きてきたのでな」 

俺が自分の安らかな死を願おうとした時。


俺のポケットの”何か”が熱くなった。 

それは本に挟むような栞だった。 

なぜか煌びやかに光っている。

内容を見る。

「”いつまで誰かに迫られた選択に従うの?

 未来をどうするか決めるのは君自身。

 誰でもない。それだけは忘れないで。”」

可愛いウサギのようなマークもあった。

こんなことをするのは1人しかいない。


黒き少女が漸く異変に気づく。

「なんだ、それは?」


俺の”選択”は決まった。

「あんたには俺を家に帰してもらう。」

「そもそも選択を強いるという事はお前は

 俺自身が選択することによって起こる何か

 によって利益を得るんだろう?」

「あんたの思い通りにはしない。」


黒い少女の口調が少し速くなる。

「なぜ、辛い現実に帰る?

 大方、その手に持っている何かに

 影響されたんだろう。

 お前は我が選択を強いていると言ったが、

 お前自身もその何かに間接的に選択を

 強いられているではないか。」

心なしか、その声は揺れているように思う。


「別に、この選択は俺のものだ。

 お前に邪魔はさせない。」

俺はこう返した。


「また辛い現実に戻るとは愚かだな。

 どうせ我の元にまた呼ばれる事になる。

 家には返してやる。

 せいぜい辛い現実に踠き苦しめ。」

***************************************************

俺は前までいた駅に戻された。

電車を降りて、煙草を吸う。

煙草を吸うのも8年ぶりだ。

仕事を始めてから吸うのをやめていた。

不思議と誰もいなかった。

「まだ、俺は死にはしない。まだな。

 あいつにこの栞を返すまでは..」


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

私はこの間、彼に拒絶されてしまった。

ここは相手側が、拒絶すると一定期間

呼べなくなってしまう。

私が今回できた事といえば彼の寝ていた間に

栞を忍ばせ、遠隔で文字を浮かばせた事

くらい。

「でも、まあいいかな。」

「あの子は、とりあえずは大丈夫。」

「暫く私がいなくても..」

「栞を返しに来るんだっけ、楽しみだな。

 その時はいっぱいまたお話しようね。」 


「次の相談者は..きみかな?

 私の名前は..」


———————————————————

こんにちは。IFです。

ここまでの稚拙な文章を読んでいただき、大変ありがとうございました。

もし少しでもいいな..と思ってくださった

方がいらっしゃったら、

ブックマークと⭐︎の評価をお願いします。 

なお、この物語は章毎に続く予定です。 

会社員編は一区切りですが、 

これからも栞とそれを巡る人々の話は

続きます。

読んでくれてありがとう。

(追伸)

この物語のAエンディング/Bエンディングに

ついては敢えて結末を明示していません。

この後のストーリーの伏線になるかも,,


 

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