STORY1.0 -或ル会社員-

(男の独白)

「俺の名前は笠井宗太。29歳。

見ての通り、冴えない会社員だ。

毎日日銭を稼ぎながら、毎日一杯のビールを楽しみに生きている。

いや、生きてきたという方が正しいな。

俺の人生が歪んだきっかけは会社の統合だ。

不景気とは厳しいもので、俺の勤める会社も業界最大手と”統合”するらしい。

文字上は統合だが、事実上は俺の様な吸収された側の社員はリストラの嵐だ。 

———————————————————-

「まもなく、きさらぎ駅。きさらぎです。

両側の扉が開きます。

終点です。お降りの方はご支度ください」 

無機質な機械音声がノイズと共に告げる。

———————————————————

ん?俺はこんな駅なんて知らない。

まさかGotubeで流れていた”あの”駅か?

とにかく降りて確認しなければ。

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俺が降りた瞬間、電車は扉を閉じ赤いライトを光らせながら行ってしまった. 

「まず時刻表だ」時刻表を探さないと。

「--無記載?それに臨時列車のみ?」

きっと俺は悪夢をみているに違いない。

何せ明日はプレゼンの社内発表だ。

今日は明日に備え、家でよく寝たかった。

仕方ない。


とりあえず駅から出なければ。

改札がない?!このままでは無賃乗車だ。

「係員を呼んで、精算してもらうしかない」

だが、駅長室にも誰もいない。

精算を諦め、外に出ると外に待合室らしき物が存在した。

扉は木でできており、開けるとミシと軋む。

木の椅子には白い服を着た女の姿があった。

彼女の赤い唇が開く。

「あなたも、来ちゃったんだ。」

俺は自然と眠くなり、意識を手放した。



 

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