ホットスナック

 ノートのページを開くたび、側に置いてあるお菓子の袋に手を伸ばす。


 今日の勉強のお供はグミだ。


 いやぁ、テスト期間。回らない頭には糖分が欲しくなるものですよ。


 でも流石に食べ過ぎると太ってしまう。


 でもやめられないとまらない。


 かっぱえびせん状態だ。


 1個だけと頭の中では分かっていても次々と袋の中に手を伸ばしてしまう。


 いつの間にか、一袋を全て食べてしまったようだ。


 さらに私は、側にあったコップに手を伸ばす。


 中から甘いラテの香りが漂う。


 その温かさにホッと一息つきながら机の上に広げられた書きかけのノートを見る。


「あー・・・やんなきゃなぁ・・・」


 そう呑気に呟く。


 そう、テスト期間。テスト期間なのに。


 頭の中では理解していながらも、手はお菓子や飲み物目掛けて伸びていく。


 そんな中、私は思うのだ。


 日本のホットスナックの消費の殆どは、勉強している学生なのではないのかと。


 いや、私が今食べているのはグミだというツッコミが入ると思うが聞いてくれ。


 ホットスナックはコンビニでいつでも買える。


 しかも、美味しい。


 しかも、よく分からないけど無性に食べたくなる。


 しかも、そこらのお菓子よりお腹にたまる。


 つまり、ホットスナックは勉強に励む学生にとって神の領域である食べ物なのだ。


 ・・・と、いう理由で私はコンビニに向かうことにする。


 勉強がしたくない訳ではない。息抜きだ息抜き。


 さて、今日は何を買おう?


 肉まんもいいが、チキン系でガツンといってもいい。


 いや、それともコロッケにするか・・・?


 なんて考えながらコンビニに着く。

 

 ショーケースと見つめあってから買うものを決めて買い、外に出る。


 買ったホットスナックを口に頬張りながら帰路に着く。


 ああ、家に帰ったら何をしよう。


 数学・・・古典・・・歴史・・・


 どれもやらなければ・・・と、思いながらも遠回りをして帰る。


 テストが終わったらご褒美として自分にケーキでも買おうかと妄想を膨らませる。


 勉強をしなければと頭の片隅にあっても、食べ物のことばかり考えてしまう。


 ま、こういう時もいいだろう。


 そう、自分に言い訳して最後の一口を噛み締める。


「よーしっ…帰ってやるかぁ…」


 面倒ではある。けれど、自然とやる気も出てくる。


 あ、ホットスナックの消費者の殆どは学生になのではないかという私の持論にもう一つ根拠がついた。


 ホットスナックはきっと頑張る誰かの心を温めてくれるもの 


 学生だけ…とは断定出来ないが我ながら良い考えではないだろうか?


 そう思うとまた無性にホットスナックが食べたくなる。


 でも、我慢だ。


 次は頑張ったご褒美にでも買おう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短編集 一番星 @star628cluster

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ