第3話 交流
今回の大攻勢の結果、マウアー軍は十数名の捕虜を獲得した。
ウィリアム中佐は自ら志願して尋問官となり、徴用兵の中から非マウアー語話者を選抜し、捕虜との意思疎通を試みた。しかし、捕虜が話す言語はいずれの既知言語とも一致せず、当初は身振り手振りによる初歩的な意思伝達に留まった。
その後、徴用兵から教師役を選び、マウアー語教育を開始。加えて、地域で名高い軍事大学より極秘裏に言語学者を招聘し、高度な教育を施した。この取り組みの成果として、捕虜は子供程度の会話能力を獲得し、敵世界に関する基礎的情報の収集が可能となった。
証言によれば、敵世界は王政国家であり、魔法が広く用いられている。さらに「ドラゴン」と称される怪物を含む多様な魔物が存在するという。これらの情報はマウアー軍兵士に驚きを与え、士官たちは新たな資源や技術獲得の可能性に期待を高めた。信心深いウィリアム中佐はこの門を「神の与えた奇跡」と解釈し、現実主義で知られるヘス大尉ですら神の存在を意識するに至った。
しかし、時間の経過とともに、門の起源と目的に関する疑問は一層深まりつつあった。
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