目指している世界観を持つ作品

 「好き」を基調とした推しではない、と言いつつ、これは「好き」ではあると思う。だから、ちょっと「好き」ではないが、の前提からは外れてしまうけど、間違いなく「制作する上の羅針盤」にはなっているから、書いておく。


『ファイブスター物語』 永野護


 ええっとね。これを知っている人はあまりいないと思う……超マイナーです。

 でも、ガノタ(ガンダムがとても好きな人)は、ピンとくるかもしれない。

 ガンダム(ガンダムZ??)のメカニックデザインをしていた人が、この漫画の作者です。


 しかし、私は決して決してガノタではない。なのになぜ、は語ると一話分にはなると思うので割愛。


 ガノタではないのに羅針盤にしているのは、「決まった世界観の中で話が動く」という話の作り方が酷似しているからです。


 この作品には「年表」が存在していて、いくつもの国家が滅びたり勃興したりして、年表の最終に向かって話が収束していきます。だから、読者はこの先どうなるかだいたいは知っている。各キャラクターがどうなるかもわかってる。

 だけど、その中の詳細な事件のことや、人がどのように死んでいくかは知らない。その細かいところを読んでいく。大まかにいうとそういう構造になっていると理解しています。


 戦後80年もたった今となっては、私たちが「太平洋戦争」っていうと大まかなことはわかっているけど、じゃぁ各々一人一人がどう暮らしていたか?とか知りませんよね。そういう細かいところを読んでいくイメージです。

 2025年4-6月期のドラマで、『波うららかに、めおと日和』というドラマがヒットしました。「太平洋戦争」とくくられる時代に、一組の夫婦がどう愛を紡いだかの話になっていると思いますが、こんな感じで様々な出来事が書き込まれていくわけですね。


 つまり、歴史がどう動いたかは知っているけど、年表にない些末ないろんなことがバンバン出てくる。でも年表と矛盾しない。先がわかってるけど、面白い。


 この「先がわかってるけど、面白い」ってすごいなって思うんです。

 世の中の人、ネタばらし嫌いですよね?(私は全く平気な変な人ですが)

 壮大なネタばらしの上に、構築されている物語。


 今の私の作品は、まだまだ少ないんで、壮大なネタばらしってことはできていないんですけど、そのうちそういう状況になると思います。

 

 そんなときに、決まった年表の中で過去と未来を行ったり来たりしたり、番外編っぽくしたり、そういうところは研究させていただいて、今後に生かしていきたい。

 10月ぐらいから現代ファンタジーを連載させる予定ですが、これがだいぶん「年表の中を行ったり来たり」になるはず。まだまだ、そこまでストーリーは進まないですけどね。


 多分、『ファイブスター物語』に出会ってなかったら、精霊4氏族は生まれていなかったし、『水の国、~』も書き上げていなかったと思います。というわけで、この作品は羅針盤であり、師匠である作品だと勝手に思っています。

 KADOKAWAから発行されている作品だからゴマすっているわけじゃないですよ(小声)


 たまたま、私にとって小説世界の構造を作る師匠的な存在になったのが『ファイブスター物語』だった、ということなだけで、それぞれの皆さんにはそれぞれの師匠的作品があると思います。

 そういう作品、早くに見つけるといいんじゃないかと思い書かせてもらいました。


 ただ、師匠的な作品は確かに『ファイブスター物語』だけど、目指している作品は『十二国記』なんだぜ。


 そして、この『ファイブスター物語』を好きと言い切れない事情が…つづく。

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