第7話 デートモード

(甘い声で)

「ふう。危なかったけど、なんとか間に合ったわね」


「さて、出かけたことだし、ひと休みしようかしら」


「チャージャーをお尻につけてっと」


(機械的な話し方で)

「オヤスミモード ハツドウ。マブタヲ トジテ ヨコニナリマス」


//SE スリープモードに入るメロディー



「エンカクソーサ ハイリマシタ」


//SE 起動音


「ダンナサマ カラ レンラクアリ。ホンジツ ゴゴ7ジニ デートモード デ エキマエ フンスイヒロバ ニ コラレタシ」


「もう! せっかく熟睡してたのに! まだお昼の12時じゃない!」


「え? デート?」


「……」


「モードを変えなくちゃ!」


//SE ボタンを押す音


「セレクト9 デートモード カイシシマス」


「今から、髪をセットして、お化粧して、服を選んで……」


「待って! ……間に合うかしら」


「服だって、今の体型に合うのは、メイド服とえんじ色のジャージだけしかないじゃない!」


「メイド服のエプロンを取れば、デートに来て行けるかしら?」


「着てみて、判断しよう」


//SE 足音


「どうかな? ……うーん。ちょっと地味かな」


//SE ボタンを押す音


「ゼンシンスキャン カイシシマス」

「ダンナサマ ノ コノミ データ ニ セツゾクシマス」

「コンカイノ フクソウ ダンナ チョウコノミ デート バッチリ」


「よし! これでいくわ!」


「髪は、どうしようかしら?」


「そうだ!」


「えんじ色のジャージをプレゼントされたときのリボンを取っておいたんだった」


「このリボンで、髪を結んで、毛先は巻いていこう」


「さて、メイクはどうしようかしら?」


「この古臭い眉は、アートメイクだから、どうすることもできないわ」


「まつ毛は、ビューラーでキレイにカールさせよう」


「頬は、もともとオレンジのチークが入っているからなー」


「くちびるは、くすんでいるから、真っ赤なリップを塗ろうっと」


// ルンルン気分の鼻歌


「エンカクソーサ ハイリマシタ」


「ダンナサマ カラ レンラクアリ。ホンジツ ザンギョウ ハッセイ」


「デート チュウシ」


「ゴゴ4ジ オリョウリジョウズ モード ヨヤク サレマシタ。1シュウカンブンツクリオキ ソウザイ ツクラレタシ」


「なんですって! まったく、もう!」


「仕方ないなぁー」


// ため息をつく


「エプロンでも付けるか……」


「髪のリボンは、はずそうか……」


「口紅も、落としてしまおう」


//SE お知らせのメロディー


「ネットスーパー ハイタツ マモナク トウチャクシマス」


「ダンナサマ ショクザイ チュウモン サレマシタ」


「ようし、やるぞおー!」


//SE 玄関のチャイム


//SE 足音(小走り)


「はーい。お待ちくださーい!」

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