第1話 正直作る時が1番楽しいよね。

草原


あれからすぐ息の切れた俺は周囲になんか無いかなーとか独り言を言いながら歩いていた。


「よく考えたら異世界物って誰かに召喚されたり、生まれ変わって一から〜ってのが主流じゃねぇの?なんで可愛いうさちゃんパジャマで草原に放り出されなきゃ行けねぇんだよ。」


 さっきなった謎の正解音もあれから音沙汰なし、頭の上の謎の勇者の称号も相変わらず触れず。


「おっぱいいっぱいゆめいっぱーい……ん?なんか向こうに何か」


 ふと視界の左端に草の緑色と空の青色以外の、ドス黒い赤色が目に入る。まだ距離があるから何かまでは分からないが、少なくとも何かである事に変わりは無いだろう。

 じーっと観察するとそれがゆっくりだがこちらに向かってきている事に気づいた。


「え、人いんの!?良かったー!!ちょっと心細かったんだよ!!あー、でもおっぱいおっぱい歌ってたの聞かれてたら死ぬほど恥ずいな。」


 とりあえず、と言うことで早速第1村人(?)を発見したのでそちらに走り出してみた。正直現状何も分からないから、ちょっとでも事情通な人なら嬉しいな!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……………………。」


「……………………。」


 先程第1村人だとおもった人がいた方に全力疾走した俺。なんども全力疾走したせいでとにかく上とか下とか見ながらフラフラになりながら再び前を向くと、目の前には顔まで全身ドス黒い赤色の全裸の女の子が居た。

 いや、正確には全裸ではないのかも知れない。本来乳首がある位置に何も無いため、そういう衣装の可能性も0では無い。


「……お前、ナニ?」


 女の子の様な何かは少し枯れた様な声でそう訪ねてきた。


「……俺の名前は柊 飛鳥!!17歳の高校生!!五教科の成績の合計は4だ!!」


「……???セイセキって何だ? 」


 俺渾身のつかみネタが通用しなかった。ちなみに成績の欄に斜線が引いてあったのは英語だ。ローマ字すらろくに書けなくて英語担当の先生にお前に1の成績をあげると1の生徒に申し訳ないと泣きつかれて渋々斜線になったぞ!!酷い話だ!!


「俺の名前は教えたぞ!!君の事も教えてくれ!!」


「ヮたしはスライムダ。」


 目の前の女の子はスライムらしい。第1村人どころか人間じゃなかった。エッチなRPGゲームでよく出るモンスター娘という奴だろうか。

 しかし目の前にいるのは確かに体色はドス黒い赤色だが、それ以外は人間と遜色ない。

 スライム娘と言う子達はもっとドロっとしていたりベチャベチャしているものでは無いだろうか。それに飲み込まれるシチュエーションや胸のサイズが水を足せば自由自在という事に何度胸が高鳴った事か。


「あー、スライムさんでいいの……かな?とりあえずよろしく!!」


 手を差し出すと、彼女も首を傾げながらも差し出し返してくれる。案外意図は伝わるものだなと思いつつも彼女の手をとるとなんか乾燥した感触が伝わってきた。

 これはあれだ。作ったり遊んだ後、ケースに入れてその事をすっかり忘れた頃にもう一度開けた時のカッピカピのカッチカチになったスライムの感触だ。

 何度もやらかしてるからわかるぞ。スライムってなんか感触がえっちだからよく買うんだ。


「よろシく……?」


 彼女も彼女で俺の手が気になるのか首を傾げながら手をムニムニしている。

 すると次の瞬間、俺の頭の上の勇者 あ の文字が光り輝いた!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 光が晴れると、目の前に【契約完了】の文字が浮かび上がっていた。

 しかも視界の端にはぼんやりと文字がうかんでおり、目を凝らすと【レイジスライム Lv50】と表示されていた。


「何だったんだ今の光……。しかもレイジスライム……?なにそれ……ってうわ!!スライムさんその腕!!」


「む、すまない。これは私の能力の硬化だ。今の光で驚いて思わず腕を硬化させてしまったようだ。」


 じきに治るから待ってくれ、といいながら僕の腕と握手していた腕がまるで金属のようになっている。


「というかあれ、スライムさんなんか言葉使いかわった……?声もなんかさっきよりかすれてないし。」


「ふむ、そう言えばさっきよりずっと頭のなかのモヤモヤが減っている気がする。それに喋りやすい。

 お前が何かやったのか?えーっと」


「柊 飛鳥です。俺は何もしてない……訳ではないかも……?」


「アスカ……礼を言う。最近理由は分からなかったが、頭の中がモヤモヤでいっぱいで大変だった。

 目の前の奴をぶっ飛ばす事しか考えてなかったから、アスカのおかげで助かった。」


 下手したら俺もぶっ飛ばされていたらしい。なんでか分からないけど、なんか勇者 あ が光ったおかげだろうか?


「まあ……スライムさんが良かったなら良かった!!」


「……よく考えたらスライムさんは困る。この辺スライム結構いるから誰を呼んでるか分からないかも。」


 少し照れた様な表示を向けてくれる。あらヤダ可愛い。しかしそれつまりどういう事だ……?


「つまり……どうしたらいいんだ。そうだ、スライムさんは普段他のスライムとかになんて呼ばれてるんです?」


「喋れるスライムはいないから呼ばれた事は無い。頭がモヤモヤした時にあった奴にはヤサイだかなんだか言われた。」


 ヤサイ……真っ赤な野菜と言えば大根みたいなので真っ赤なのがあった気がする。いやそんなのはどうでもいいだろう。


「……まどろっこしい。アスカが私の名前をつけろ。」


「え、いいの?女の子の名ずけとかして。」


 昔学校で飼ってたうさぎにウサって名前をつけてそのまま過ぎだろって言われたが名ずけにあまり自信がないんだが。


「うーん……あ、レイジスライムだっけ……。だかられいとかどう?れいちゃんとか可愛くない?」


「れい……れいちゃん。気に入った。」


 満足そうに頷き笑うれいちゃん。可愛い。

 そう言えば大切な事を聞き忘れる所だった。これを聞いておかないと今後に差し支えるだろう。


「1つだけ聞いていい?……れいちゃんってパッと見乳首見えないけど……もしかして全裸?」


「……作った方が良いか?乳首。」


 目のやり場に困るから丁重にお断りしておいた。

俺は童〇なのだ、今でさえなんとか抑え込んでるのに、こんな可愛いスライム娘さんが全裸でしかも乳首出して歩いてたら〇起が治まらなくなってしまうだろう。

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