ASDグレーゾーンの人生録

PC雑用係のこまきち

「政治・宗教・野球の話はタブー」──新人営業だった僕に刺さった一言と、その意味を振り返ってみた

🔹はじめに


社会に出て最初の仕事は、営業職でした。

人と話すのが得意ではない私にとって、営業は正直しんどい日々でした。


そんな中、あまり尊敬していたわけではないけれど、やさしく接してくれる先輩がいました。

その先輩がふと教えてくれた、今でも覚えている言葉があります。


🔹「政治・宗教・野球の話は営業ではタブー」


飛び込み営業などをしていると、たまに先輩から喫茶店で落ち合おうと連絡がありました。

仕事に嫌気がさしている私はサボれることが嬉しくて、すぐ了承していました。

喫茶店につくといつもの席でタバコをふかしながら手を挙げる先輩がいました。

私もお馴染みのアイスコーヒーを注文し、先輩の前の席に着いていました。

当時どのような雑談をしていたかは思い出せないのですが、何か色々教えてくれようとしてくれたのだと思います。


話の中で、先輩は家族である宗教に入っていたり障害を持ったお子さんがおられるとのことでした。

世間知らずな私は特に意識していませんでしたが、先輩から

「政治と宗教と野球の話は営業ではするなよ。相手のことがわからんうちは絶対触れないほうがいいよ。最悪のまれるかもしれないから。」

と言われました。


当時の私は「へぇ〜そうなんだ」と軽く受け流した気がします。

そもそも口下手であまり興味関心がない私はそこまで口にすることがなかったのですが、なぜか今でも覚えています。

最近、その言葉をよく思い出すようになりました。


🔹なぜダメなのか?──今なら少しだけわかる


最近になって、あの言葉の意味を少しずつ考えるようになりました。

当時の私は「なぜそれがダメなのか?」まで深く考えていなかったけれど、今なら想像がつきます。


政治や宗教、そして野球の話って、意外と“個人の正義”が強く出る話題。

たとえ悪気がなくても、相手の信条や価値観とズレた発言をすると、一気に不快感や敵対心につながる可能性がある。


そしてもう一つ、その人にとって「どこが大事な話題なのか」なんて、会ったばかりの他人には絶対にわからない。


例えばネットで叩かれている宗教に知人が入る時、

「それなりのバックボーンがあるかもしれない」というのを無視して辞めた方がいい、なんて無責任な言葉を投げかけるべきではない。


「その人を形作ったものを否定することにも繋がりかねない」

そういう意味なのだと今は解釈しています。


🔹ASDグレーな僕にとっては、明確な“避けるべきライン”だった


ASDグレーゾーンと診断されてから改めて実感しているのですが、空気を読むのが得意ではありません。

“話していいこと”と“話さない方がいいこと”の区別が、昔からすごく苦手です。


以前の私なら「ネットではこう言われますけど実際どうなんですか?」みたいな質問を平気でしそうです。


だからこそ、先輩が教えてくれたこのルールは、当時の私にとって、とてもありがたい「安全ガイド」だったのだと、今なら思います。


🔹言葉の意味は、後になってじわじわ染みる


その先輩のことを今も尊敬しているかと聞かれたら、正直「そうでもない」と答えると思います。

でも、あの一言がなかったら、僕は何度も地雷を踏んでいたかもしれません。


自分の意図しないところで「悪意ない攻撃」が発生しうるということがわかっていなかった自分にとっては、この気付きはすごい進歩だと思っています。

もちろんまだまだ未熟で気づけない「悪意のない質問」などをしている可能性もあるため、今後も勉強していきます。


ただ、ふとした一言が、数年後の自分を助けてくれることがある、そう思えるようになったのは、社会で何度も失敗したからこそ、かもしれません。


🔹おわりに


今も私は、人付き合いが得意ではありません。

ですが、「政治・宗教・野球の話は避ける」

このルールだけは、今でもこっそり守っています。


あの先輩に、もしもう一度会えるなら、

「当時はよくわかってなかったけど、ありがとう」って言いたい気がします。

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