第35話 ②銃の普及

 町の露店を見て回っていた時、拳銃を見つけた。やたらと装飾の多き小型な形状をしていたので、

「これっておもちゃなの?」

「実弾出ますよ」

「へー、どこで作っているんだろうね」

「アルプス山脈の北側から入ったそうです」


〇×△


 大砲製造の部隊に戻って取り組んだのは、耐久性の向上。拳銃にしろジランドールも、兵隊の人に毎日試射してもらっていると、ひと月で急に的に当たらなくなる。分解すると、すり減っているところが見つかった。

 製造装置を使って数多い部品を組み立てているけど、どうも、切削加工したパーツの表面が繰り返しの利用で振動しすり減っていくらしい。

 すり減るところに当たる面を炭を高温で浸透させ、焼き入れを行った。なかなか精度が出ない。焼き入れをする分、寸法が変化する。

 元の部品の形状をほんの0.2mmほど変更してやっと組み立て後の精度を確保した。

 しかし、ひと月でダメになるようだ。強化した面の対面が今度はすり減っていくようだ。

 向かい合う両方の面の面強度を焼き入れ時間との調整でいくつも試作した結果、1か月ではヘタレないようになってきた。

 そういう場所は3か所ほどあって、半年ほど調整ののち、そうとう寿命が延びた。

 製造は大変だ。


〇×△


テレサは、上司に退役を申請した。

「まだ若いし、恩給は出ないよ」

「事業を立ち上げようと思います」

「ほう、何を作るんだ」

「秘密です。うそ、工作機械を作ります。これからの時代、キーになりそうなので」

「受理できるように上司に掛け合ってみよう」

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