異世界と家を往復!農家で大活躍してやるぜ⭐︎…のつもりがいつのまにか聖女様扱いなんだがこれは?

雪兎

第1話 家の畑は異世界

「…何ここ…」

農家の私の新しいマイホーム、


異世界に繋がっていたそうです。







─────────────────────


「念願の…

マーイホ──ム‼︎‼︎」

私、草野琴音は空に向かってガッツポーズをする。

見てくださいよ!みなさん!これ!

念願のマイホーム!

ピカピカのガラス!

屋根!

壁!

全てが素晴らしい!

これで…これで…

「彼氏が…いればなぁ…」

最大なため息が出る。


私の家は農家だ。

そのため小さな頃から土いじりをして育ってきた。

それだ。

そのせいだ。

私の未来のパートナーが姿を絡ましたのは。


草野琴音。16歳。

人生初めて告白される。

クラスでまあそれなりにかっこいい人である。

そもそもこんな人間に何故土女が選ばれたのか不思議なのだが

「草野さん!好きです!付き合ってください!」

熱烈な告白を受けた。

しかしその時の馬鹿は

「ごめん。私畑やりたいからそんな余裕ないわ」

…馬鹿。

馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ぁ‼︎‼︎

あれ以降、私は一度も男性運に導かれたことがない。

だってぇ!土!楽しいじゃぁん‼︎

このマイホームだってぇ!畑あるしぃ!

いうて新居じゃなくてもともとあるやつだけど!

糞ぉ!

いや、落ち着け琴音。

頬をベチーンと叩く。

道ゆく高校生にドン引かれる。

落ち着け。大丈夫。大丈夫。安心しなさい。「肝心なのは土!大事なのは土!畑女行くぜぇっ!」


土を耕す。

ああ、幸せ。


あれ?なんだこの変な土。

黄色い土が見つかる。

ほりほり掘ってみると…

扉。

そう、扉である。

扉が土の中からメリメリって生えてきた。

ちょっとキモい。

「開けてみるか…って冗談冗談…なんで勝手に身体動くの⁉︎」

農家という設定とともに私、琴音はドアを開ける。

ていうか呪われたみたいに開ける。

なんかもう、勝手にだ。

扉の外に放り出され、



目の前は

草が生い茂る草原。

獣耳や耳が異常に長い美人。

狼みたいなやつ。


「…なんで家と異世界繋がってんだよぉぉぉぉぉ‼︎‼︎」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る