【童話】ヤングケアラー

野口マッハ剛(ごう)

ボクの日常

 ボクの一日はパパをお世話することから始まります。パパはうつ病で体が重たいのです。いろいろ手伝います。朝食を食べさせてあげたり、尿瓶を洗ってあげたり。


 ママは一日中働いています。それでも生活が苦しいです。


 ボクはよく勉強に追いつけなくなります。小学校の担任の先生から注意されます。けれど、パパのことは言えません。何だか勝手にパパのことは秘密にしないといけないとボクは思ったからです。


 家に帰るとパパは床の上でうずくまっています。ボクはパパの肩を揺らして起こします。


 パパは突然大声で叫びました。


 ボクは気付けば、パパから頬に平手打ちをもらっていました。ボクはパパのことが怖くなります。ボクは泣きたい気持ちをグッとこらえてパパのお世話をしました。


 翌日の小学校で気分が悪いので保健室に行きました。保健室の先生は優しいです。


「あら、どうしたの? その頬のアザは?」


「パパから平手打ちをもらいました。パパはうつ病でボクはお世話をしています」


 すると、保健室の先生はボクにこう言いました。


「なるほど。先生は電話をしなきゃいけない。君を守るためにね」


 ボクはその日の晩にママから謝られた。今までパパのことを押し付けてごめんなさいと。


 ボクはヤングケアラーって言うらしい。


 法律で守られるべき存在らしい。


 ボクはパパのお世話をしなくてもよくなった。周りの大人たちがボクを助けてくれました。


 ボクは久しぶりに友だちと思いっきり遊びました。


終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【童話】ヤングケアラー 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る