第10話 デートに終わる
先輩方の楽しい
と言っても、そこは我等が応援団。
顔も広ければ、知り合いだって、相応の数になるので…
「なにィ、後輩の恋路を遮られたぁ?
じゃぁ、しょうがないな。」
といった感じで、お咎めもやんわりとしたものになる。
オマケにチャラ男さん達、
乱痴気騒ぎの影響で、気付けば陽もだいぶん傾いてきた。
「それじゃあ…」
そう言って、駅の方へ歩みだそうとするアカリ。
「ちょっと、待って!」
そんな彼女の腕を捕まえてしまう僕。
「家まで送っていくよ。」
「うん…うん。」
涙目になるアカリ…そんなにきつく腕掴んじゃったかな?
「んっ!」
腕を放し、今度は僕の腕を彼女の方に差し出す。
「うんっ!」
アカリは僕の腕に抱き着いてきた…あまりにも強く抱き着くものだから
「ちょっ、近すぎ!」
ふっくらが腕にあたって…僕もイロイロと大変なことになるのだが…
「やだぁ!」
さらに抱き着くアカリ。
あばば、さらに設置面積拡大しましたよ。
「歩きづらいって。」
何とかしたいんだけど…
「いいの!」
結局、このままで電車に乗る羽目になってしまった。
周りの目は生暖かく、アカリさんはすっかりご機嫌で…あ、お気に入りの歌を口ずさんでるし…。
電車の車窓に映る風景は…夕日に染まる摩天楼、
そんな風景を見ながら語る他愛ないおしゃべり…。
アカリといっしょに眺めた風景が、語り合った他愛ないおしゃべりが、僕の中でパズルのピースが埋まるように、一つのカタチを形成していく。
そう、『アカリが好きっ!』というパズル…。
気付いたのは、ついさっきの事。
彼女に腕を差し出した時…ぼんやりと現れたパズル。
電車の中で、二人で車窓を眺める度に…二人で会話を交わす度に…どんどん埋まっていくパズルのピース。
もう、想いを押し留める事は出来そうにない。
僕達の住む街の駅に到着し、改札を抜けたところで
「う~でっ!」
僕の腕を所望し、再び抱き着く気満々のアカリさん。
流石にここからは恥ずかしいので、ご遠慮出来ないかと両手を合わせてお祈りポーズをとるのだが
「やだぁ!」
有無を言わせず、強引に僕の腕に抱き着くアカリ。
仕方がないので、彼女に
因みに生暖かい視線は五割ほど増しておりまして…こりゃ、月曜日は詰問待った無し!である。
そんなこんなで、ようやく
スルッとアカリは僕から離れた。
「今日はありがとう。」
一礼して道場の門をくぐろうと歩みだす彼女。
「あの…」
僕は大切な事を伝えないといけない。
振り返る彼女…彼女も何かを期待している。
「今日、分かった事があるんだ。」
「…」
「僕は、君のことが好きだ!って事。」
みるみる涙目になり、両手を口の前で合わせるアカリ。
「今までは『親友だ!』と思っていたけど、それとは別の感情がここにある。」
自分の胸に手を当てれば、彼女はウンウンと頷いている。
「だから、これからは『そのつもり』で付き合ってほしい。」
そう言って頭を下げた。
「遅いぞ…ばかぁ!」
そう言って、再び彼女は抱き着いて来る。
腕にではなく、僕の腕の中に…
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