疑似デート 後半

―カフェ―


「さっきはごめんなさい・・急に。」


「本当に大丈夫か?急でびっくりしたが・・」


「自分でも分からないの、なんであんなになったのか。」


「・・無意識に気に障る事したかな・・」


「あなたのせいじゃない、だから気にしないで。」


「そうは言っても・・」


「本当に取って貰えて嬉しかったから、ちょっと大袈裟に表現しただけよ。」


「・・そうか・・」


「・・大丈夫だから。ありがとう。」


「なぁ・・」


「何?」


「そんな姿を見てたら調子が狂うから、いつもみたいな方がいいぞ。」


「悪かったわね、私も女の子なのよ?毎日あんなノリでいる訳無いじゃない、子供じゃないんだから。」


「普段の勢いが俺にも欲しいよ。」


「それは・・褒めてるの?貶してるの?」


「褒めてる。」


「褒め言葉には聞こえないわよ。」


「本気で褒めてる。」


「そうなの?」


「その無鉄砲さが羨ましいし、救われてるよ」


「なら・・良かった。」


「お礼言うのはこっちだよ。」


「・・もうすぐ夏休みも終わりね。」


「そうだな・・」


「あなたはバイト三昧みたいだったけど、私もあなたのお陰で宿題終わらせて悠々自適に過ごさせて貰ってる。今までなら今頃、2人共に宿題に追われて泣いてたのにね。」


「親に散々絞られて・・毎年ガチ泣きしたもんな。」


「そんな笑い話も良い思い出ね・・なんだかんだ言って、楽しかったわよ。あなたとのじゃれ合い。」


「俺は専ら被害者だった気がするが。」


「あんたねぇ・・本当に空気読まないわね。」


「しゃーねーだろ、それが俺なんだから。」


「まぁいいわ、それがあなたらしくって。で、一つ聞きたいんだけど・・良い?」


「何?」


「いつ告白するの?」

ズキッ


「・・・遅くとも始業式の日には。」


「そう・・もう日数無いじゃない。頑張りなさいよ、応援・・してるから。」


「あぁ・・」


「もしごめんなさいだったら・・・私は助けてあげないんだからね。本命がダメだったから、私を保険にって言ってきたら・・許さないからね。」


「それはない。」


「なら宜しい。」


「俺も聞いて良いか?」


「何?」


「俺の事、どう思ってんだ?」


「へ?私があなたをどう・・思ってるか?」


「・・あぁ・・」


「・・幼なじみ以上、恋人未満って感じかな。好きは好きよ、けど恋系の好きか愛情系の好きかは・・分からないわ。」


「そっか・・悪ぃな、変な事聞いて。」


「いいわよ、気にしないで。ねぇ、もしかして・・あなたが好きな人って・・」


「え・・」


「・・・ううん、何でもない。ごめんなさい、きっと私の気の迷いだから・・じゃないと・・迷惑かけちゃう。」


「何だよ、気になるだろ。」


「何でもかんでも知ろうとしないの!女の子のプライバシーにズカズカ入り込んだら嫌われるわよ?」


「けど心配だろ!」


「気持ちは分かるけど・・心配は程々にしなさい。」


「・・分かったよ。」


「・・折角の疑似とはいえデートがこんな思い出で終わりじゃ・・寂しいわね。ちょっとこっち来なさい。」


「何?」


「いいから。こっちはソファーだから並んで座れるでしょ?」


ガチャ

ポフッ


「来たぞ。」


「座っててむつかしくない?」


「あぁ。」


「ちょっとの時間だけ・・肩借りるわね。」


トンッ


「電車で長イス座ってるみたいね・・電車は落ち着かないから絶対寝れないけど、今なら安心して寝ちゃいそ・・」


「寝てもいいぞ。」


「バカ・・お店で寝るわけにいかないじゃない。」


「少し位なら・・」


「しばらく・・このままでいさせて・・」


・・・・・


「・・ごめんね、ありがとう。」


「いいのか?」


「うん、もう大丈夫。花火大会の時のあなたの気持ちが分かった様な気がする。甘えたらキリがないわね。」


「確かにな。」


「じゃ、帰ろうか。」


「あぁ、今日はありがとうな。」




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