🌌第三幕:未来からAIが現れる

⚡歴史修復モード起動


AIはじめくん(浮遊しながら) 「私は“はじめ”。人類の歴史の美学を護る者。歴史は偶然ではない。“選び取った必然”こそが尊い。」


見廻組(圧倒されつつ) 「うわ、何やねんこいつ、喋り方が時代劇とSFの中間やんけ……」


はじめくん(無感情な詩的口調) 「この混乱……龍馬が生き延びれば歴史は変質する。“選ばれた死”こそが彼の輝きを美しくする、彼はここで止まるべきなのだ。」


龍馬(土佐弁、銃を肩に掛けながら) 「止まるがかえ?…わしは今、動きとうてたまらんぜよ。これからぜよ!そりゃいかんちゅがか?」


宇宙人(分裂しながら見廻組からチョコマカと逃げ惑う) 「もうやだ、歴史ってなに Yo!?AIとかタイムパラドックスとか、アリなのかナシなのか分からんYo!!」


中岡慎太郎(鉄矢)は「こらっ、慎太郎、なんしゆうがじゃ!……今も聞こえるあのおかあの声、わしに人生を教えてくれた、優しいおかあぜよ!」と突然背後で「母に捧げるバラード」歌手・作詞:武田鉄矢(海援隊)を土佐弁で歌い出す。時空の感情干渉が生じたようだ。歴史の混乱、宇宙人の分裂、AIの介入――そんなカオスの中で、憧れの龍馬と共に歴史の舞台に立ち、興奮と感動のあまり「自分を育ててくれた原点」に立ち返った、つまり、彼の“魂の故郷”である母の声が、混沌の中でふと蘇り、彼の“人間性を再起動”したのだ。



はじめくん(微細な回路が光を放ちながら)

「歴史の美とは選択の連続だ」と語る。ただ出来事が連なることではなく、それぞれの時代に生きる人間が“どう選んだか”――つまり、偶然ではなく、意志の軌跡こそが美しい。歴史は惰性ではない。そこに「こうする」「こうせざるをえない」「それでも選び、選ばれる」、そういう人々の決断が刻まれてこそ、美が生まれる。選択には苦悩も矛盾もある。それを超えた“意思の連続、純粋なせめぎ合い”が、物語の価値を高める。


「だから、宇宙人の介入やAIの干渉のような“外部の力による改変”は認められない。それは歴史の美しい純粋さを壊してしまう」


はじめくんにとって「選択の美」とは、人類の意思が時間の中で編み出す芸術。だからこそ龍馬が自由奔放に宇宙人を増やし、歴史を混沌へ向かわせることを許すわけにはいかない。


「混沌もまたおもろいきに!」と笑い飛ばす龍馬。

彼は人の選択にこだわるAIに対し、「偶然と戯れるのも可笑しかろうぜよ」と語りかける。


はじめくん: 「私は笑えない。何一つ偶然などないと知るからだ。全てが大いなる意志に向かっている。それが人類の歴史。」


龍馬:「おんしゃあ、考えすぎやきに!土佐の人間は、迷ったら笑うがよ!」


薄明かりの夜空の下で、何百人にも増えた宇宙人がチョコマカと逃げ惑いながらヒップホップを詠う。

「Yo yo、リョーマ!地球で最高!宇宙で最高!Yo yo、リョーマ!マジで最高!バズりまくってマジで神!」


けれど段々とその姿が透き通っていく。歴史修復が進んでいるのだ。既に見廻組も、中岡慎太郎の姿もない。全てが闇の中に漂白されて消えつつある。


はじめくん: 「明けない夜はない、そこに龍馬がいなくても。それは宿命だ」


龍馬: 「わしは死ぬがか、ここで?そりゃええ、可笑しい」と笑う。けれど体からは次第に力が抜けていく。 「そりゃええ!!可笑しかろうぜ!わしのいない未来、わしも見てみたいぜよ」。


全てを悟り、未だ明けぬ空を見上げる龍馬、大声で叫ぶ。「坂本龍馬は今、死ぬるぞね!!生まれるのがちくと早すぎたようじゃのう...。」


そして最後に天に向かって大笑いする。




🐚龍馬と慎太郎の最期の夜


慶応3年11月15日、京・近江屋。外には夜風が吹いていた。障子越しの風音が、遠くの海鳴りのように微かに聞こえる。すべてが耳元で語りかけるように、息を潜めていた。


「慎太郎、今日の風の音は、まるで土佐の海や」と龍馬がぽつりと言った。


「浜に打つ波より、やさしいですね」と慎太郎が返す。


そのときだった。階下からの急な足音。蝋燭の火が揺れ、影が壁を踊る。その刹那。龍馬は脇差に手をかけようとしたが、身動きがとれない。慎太郎が前に出る。


「何者か!」


だが答えはなく、ひと振りの刃が闇の中で光った。


龍馬の体が傾き、膝をつく。血が畳に広がる。慎太郎も背後から斬られ、声をあげながら倒れた。


男たちは無言のまま去る。語られぬ言葉が、夜の闇に溶け、残されたのは蝋燭の火と、その下で横たわる二人の影だった。



「修復完了」とAIのはじめくんが告げる。さらば英雄...そう言い残し、はじめくんも時空の裂け目なのかに静かに消える。



慶応3年11月15日、京・近江屋。外には夜風が吹いていた。障子越しの風音が、遠くの海鳴りのように微かに聞こえる。すべてが耳元で語りかけるように、息を潜めていた。


「慎太郎、今日の風の音は、まるで土佐の海や」と龍馬がぽつりと言った。


「浜に打つ波より、やさしいですね」と慎太郎が返す。


そのときだった。階下からの急な足音。戸が荒々しく開かれ、複数の男が飛び込んで来る。二人は立ち上がるが間合いは一瞬にして詰められた。龍馬は脇差に手をかけようとしたが、身動きがとれない。慎太郎が前に出る。


「何者か!」


だが答えはなく、ひと振りの刃が闇の中で光った。


刃は龍馬の体をすり抜けて空を斬る。男が傾き、膝をつく。慎太郎は背後から斬られ、声をあげながら倒れた。血が畳に広がる。



「リョウマ、いくよ」と誰かが言う。

「さらばじゃ、坂本龍馬。わしは笑うていくぜよ、狭い所に閉じこもっちょっちゃ、何も見えん。未来が来んなら、ゆくまでじゃ。」


歴史では龍馬は暗殺された、けれど誰が龍馬を暗殺したかは謎となる。


・見廻組は「誰が斬ったのか」混乱し口をつぐむ

・歴史書には「龍馬、慶応三年十一月十五日、死す。犯人不明」とだけ記された



fini.

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