2025/8/14 蚯蚓

えらの無い私は陸で溺れます。

胸を抑えつける風をかき分ける鰭も無く

ただ口から吐くのは泥ばかり。

せめて夏の日差しを反射する、美しい鱗があったらと

排水溝を泳ぐ魚たちを羨ましく思います。

いや、そうじゃないかもしれません。

私はただ、わたしの全てが憎いのだと思います。

ありとあらゆる腐敗したものを愛しています。

大切だったものとそれを忘れてしまったこと

花と太陽と土と風。

いつか誰かが聴いていたCDは、割れて畑に吊るされていました。

その歌は月のようですねと誰かに言えたら、寂しさは癒えるのでしょうか。

空の蓋を今日も見上げています。

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