第3話「決戦」

~人間とは、国会で叫びがちだが、ルールの前では無常である。~


小隊は、国会議事堂の門番に丁寧にお辞儀をした。

田島は「ファック・ユー!」と叫び、指を立てると、

小隊は本会議場へ一直線に突き進んだ。


門番の二人は顔を見合わせ、

「なんか…すごいね」とつぶやいた。


議場では、国家総動員法の採決が真っ只中だった。


田島「近衛ちゃーん、いるー?

   総動員なんかしなくても、わが軍は安心ですよー!」


近衛「何!?」


田島「上官、小隊を一列に並べて、鉄拳制裁をお願いします!

   威厳のあるところを見せてやってください!」


上官「そんなことできるわけねーだろ!

   偉い先生と呼ばれる人たちがたくさん見てるんだぞ!」


田島「なんてあんたは、ダメな人間なんだ。

   あんたがやらねーなら、俺が鉄拳制裁を代わりに喰らわすぜ!」


近衛「東条英機くん。これはいったいどうしたことかね?

   審議の邪魔をするなら、出ていってもらいたい」


東条「……本当は軍人の魂というものを近衛さんに見てもらいたいが、

   ここは国会。ルールはルール。

   市ヶ谷第一小隊、お引き取り願います」


決戦は、あっけなく終わった。

小隊は議場を離れ、国会の廊下を歩いていた。

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