第38話 サキも戦力?(3)

「危ないわね! 何してるの!」


 上手くいったのに、烈火の如く怒り出すサキ。


「あれっ、合図じゃなかったのか?」

「あれはアップルに狙撃してって合図してたのよ!」

「あっ……そっか」


 サキは私へ怒りを表しつつも、飛んでいった拳銃を拾いに走る。

 そして、それを手にすると男の口へ強引にねじ込んだ。


「はい、これが出前よ。鉛玉だけどね、売人はどこ?」


 そう言うと、さらに拳銃を奥にねじ込む。


「お前、それだと喋れないだろ」

「あっ、そうね」


 サキは口から抜くと、そのままこめかみへと押し当てた。


「私たちも鬼ではない。お前は見逃してもいい」


 私の言葉にサキが答える。


「あんた、吸血鬼だから鬼だけどね」

「あっ、そうか……」


 そのやり取りに「ぷっ」と思わず吹き出した男。彼に恥をかかされたと思ったサキは、完全にキレた。


「笑ってんじゃないわよ。売人はどこって言ってるの!」


 サキの金切り声に、男は売人の居場所を話し出す。一瞬、周囲に聞かれてないか気にしたが、イベントの騒がしさがそれを打ち消していた。

 その状況も考慮して男は“コイツは本気で撃つ”そう感じたのだろう、男は素直に答えた。


「よし、分かった廊下の端の扉だな」

「あっ、ああ。もう行っていいよな?」


 男の質問に私はこう答えた。


「いいから寝てろ!」


 私は後頭部を掴むと、そのままコンクリートの壁へと叩き込む。男は「ぐへっ」と声を出すと、そのまま気を失って倒れた。


「し、死んじゃった?」

「大丈夫だろ。加減しといたから」


 吸血鬼の力は常人の三から五倍はあるとはいえ、このくらいでは死なないだろう。

 私のその返事にサキは「まっ、いいか」とつぶやくと、拳銃をするりと男の脇へ落下させる。

 それは地面とぶつかると、ガシャンと鈍い音を立てた。


「さて、行くか」

「もう、汚れちゃったじゃない」


 私の言葉にサキはそう返事をすると、服の汚れを両手で払うのだった。

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