第18話 お前、許さん(3)

「どうしたの。何かあった?」


 事務室からおばちゃんが出てきた。恐らく、扉の前から移動しようとしないラルとサキを見て、揉めているのかと思って出てきてくれたのだろう。


「トイレの使い方を教えてほしいそうです」


 ラルは彼女にそう言うと視線を先へと移した。サキはその言葉に戸惑いを少し眉をひそめる。


「そうなの? でも普通のトイレよ」

「あっ、はい」


 おばちゃんは彼女の返事を聞くと、目の前のトイレの扉を開ける。


「このトイレは男女共用だからね」


 入り口に女性使用中と書いたマグネットを乱暴に貼ると、そのまま後をついてくるようにおばちゃんは指示した。


「待ってますんで」


 ラルのその言葉に少し頬を膨らませたアイツは、そのままトイレの中へと入っていった。


「ふっ、ラルを落とそうなんて……いや、なんでアイツ、ラルを落とそうとしてるんだ?」


 サキの行動に疑問を感じる。


「ラルが何か重要な情報を持っている?」


 いや、それはないはずだ。そうなら、一番身近にいる私に依頼がくるはずだ。

 私はそんな疑問を抱きつつ、トイレの扉をじっと見つめていた。

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