もう、やめにします。

三生七生(みみななみ)

雨のあとに

これは、独白です。ひとりごとです。

なので、あまり気負いしないでくださいね。誰もあなたのことなんて言ってませんから。

ただ、聞いてくれると私が少しうれしいのです。


私は、あなたが大切でした。

いえ、正確には、大切だということに最近気づきました。

最果ての地でも、暗い海の底でも、どこでも私たちはやっていけると思っていました。そんな場所に行ったことがないから、思い違いかもしれません。でも、現実的な私がそんな思い違いをできるほど、私はあなたに夢中でした。ああ、好きなのだと。私は気づいてしまったのです。

体をどこかにぶつけて痣ができると、安心します。これは罰だと思えるからです。痛みが私を救ってくれるのです。聖書よりお経より、ずっと支えになったのです。

思い出さなきゃよかった。そもそも、あのとき話さなければよかった。あなたの懺悔に耳を貸さなければ、私はあなたを許すこともなかったのに。今更になって、あの懺悔は蛇の甘言であることに気づきました。砂糖菓子のように甘い、毒でした。叶わなかった夢を、叶えられたかもしれない夢を、私はいつまでも振り返ってしまうのです。今までずっとそうして生きてきました。すべて自分の意思で、自分の選択であったはずなのに。夢が叶ったとて、その先が極楽である可能性なんてありません。それでも、それでもと思ってしまうのは人間の性でしょうか。私の弱さでしょうか。後者だとしたら、私はどうしたら強くなれるのでしょうか。時間が解決すると思っていました。そう信じていました。でも、五年目を過ぎた頃、それは無理だと悟るようになりました。消えないのです。何もかも。思い出も、言葉も、風景もすべて。それはそれは昨日のことのように思い出されるのです。いえ、もはや「思い出す」ではありません。そこにずっと「在る」のです。引っ張り出す必要など、ないのです。それほどまでに、私に癒着しているのです。

悪い人間だと、わかっています。わかってはいますが、開き直るほどの強さや度胸は私にはありません。だからこそ、卑怯なのです。どちらにも振り切れないから、私はずるい人間なのです。

こんなことを今更言っても仕方ないですよね。すべては終わったことです。そう、終わったこと。振り返っても、どうにもならないのです。行動を起こす気がないのなら、振り返って何になるというのでしょう?

もう、やめにしましょう。いえ、やめにします。こんなことをいつまでも言っているのはきっと私だけですものね。

今日は、雨がなかなか止みませんね。あの日は、もっと晴れていましたね。

そんな些細なことを覚えているのも、きっと私だけでしょうね。


ありがとうございました。お元気で。

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もう、やめにします。 三生七生(みみななみ) @miminanami

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