第2試合 コロナの洗礼の巻
東京駅のプラットフォーム。圓は下りた。人生で初めて。歴史の教科書の資料集で見た東京駅丸の内駅舎のドーム型屋根とは違う新駅舎を下りて、東京メトロ南北線の後楽園駅に向う為の切符を買い、喉が渇き過ぎてルイボスティーを飲み干してしまった
圓は推理した。この人達は時代のせいで思考回路を歪められた東京都民…。(小池都知事が就中STAYなんたらを推奨してんだけどね…)その分、地方からやって来た人間を徹底的に地元に強制帰還を行わせ、夢を追うこと自体をより困難にさせるためなのかも知れない。
ふと、例の小学生が持っている黒い団扇の表面にキウイのイラストとその裏面には「HARUKA♡LOVE」と書かれていて、白い方の表は「ハルカしか勝たん!」で裏は「木内なう」と書かれていた。圓は、昨年のドラフト会議で夏の大阪予選決勝で黄正社に負けた事が足を引っ張ってしまった事で指名漏れしてしまった大阪光陰のエースピッチャーで屈指の名門こと早稲田大学野球部に入部し、同じく茨城県出身の
圓が小学生時代に新しく作られたばかりで成長を積上げる東海タクティクスだったのに対して、木内は水戸市内でも屈指の強豪でイチバン至上主義と呼ばれているくらいで県内の少年野球ファンに於いてはその名を知らぬ者は居ないと称される有数の老舗チーム・水戸ヤンキース史上最強の投手だった。
彼は改めて、幼き頃の戦友を回想した。
初めての直接対決は2010年のジャイアンツカップの県予選1回戦6回表で、遊撃手だった彼は規格外レヴェルの同い年の投手相手にまさかのソロホームランを放ってしまったのだ。
其時は、観衆が「この東海の選手、何をしでかすんだ!」「相手は木内だぞ!!空気読め!!」「タクティクス帰れ!!」「俺達の水戸ヤンキースが大阪光陰の御用達チームになるのを見届けるのが俺達の夢なんだ!!」等といった野次がぶっ飛んで来た。相手が小学生なのにも関わらず。何故か其時の自分はディープインパクトを有馬記念で破ったハーツクライに成っていた。野次を飛ばされるのは、之が初めての事だった。
其れが原因で結局は、水戸ヤンキースにズタボロだった。結果は3−1。之は今でも闡明に憶えている数字だ。
他にも、何方とも異なるけれど地元の公立中の野球部で飛田穂洲杯に出場したけれども1回戦負けだった。
ヒドイもんだったぺなぁ…
それ以来はと云うと、圓がヒッソリと火戸第一に進学したのに対して、木内は何十高は在る中での強豪に聲を掛けられて、茨城県の子では随分と珍しい話だが、其の中の大阪光陰に進学することに決まった。(2chでは常州学院に行くという疑惑があった。)中学生時代に特に高校野球が好きだった友達に依ると、「あの子はね、茨城が超嫌いなの。だから、大阪行くんだって。」といったものだったり、地元民も「茨城だと成長できないから…。」「茨城にそんなに固着してはいないみたい。」と言ってて真相は藪の中だった。
「まァ、強いてはハルウララ。活躍したとしてもハイセイコー、オグリに成りそうだべ。」圓は自分自身が競走馬だと仮定したとき、地方競馬からの成り上がりストーリーに成りがちな事を已に示唆していた。
人は言う。特に彼が東大野球部に入部することが決まった時のtweetや5ちゃんねるのレスで。
「どうせ進学校出身の選手は活躍出来ないよ。」
「芦毛の馬が走らなかったのと同じだ。」
「サグラダ・ファミリアが完成しないと、お前らは優勝できないよ。」
「地方馬がダービーに挑むのと同じだ。只、コスモバルクがイレギュラーなだけだ。要するに、お前はジンクス地獄だ。」
「白河の関越えしないと東大野球部は優勝できない。」
「日本馬が凱旋門賞勝てないのと同じだ。エルコンドルパサーが日本の馬として出た時点で間違いだ。」
「想像してみん?牝馬が天皇賞・春と菊花賞勝てないのと同じだ。」
「実際は三冠牝馬が天皇賞・春、エリザベス女王杯、宝塚記念を勝てないのと重なるのは何でだろうなー。」
「サトノの方が早かったねー。東大野球部、乙www」
「マイル完全制覇はグランアレグリアの方が早そうだwww東大マジ弱すぎワロタwww」
「白毛がG1勝たないとお前らは優勝できない。」
「球界のサグラダ・ファミリアwww」
「日本人女性騎手がG1勝つほうが早そう」
「声優ユニットがレコ大獲らないと優勝できなさそう」
「マル甲じゃないけど大田原から石梨高、そして東大野球部に行ったお前の同期の
といった、悪口の羅列だった。
(た…滝音って…ア…あの…「東大行く行く詐欺」でお馴染みの…?)
と、思いながら、圓は其の場を後にして、後楽園駅に向う為に東京メトロ南北線のプラットフォームに行った。
「…阿久津に遭遇しないといいな…」
圓は思わぬ言葉を発した途端、奴が居たのだ。
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