第36話 結末後⑦

そして、セシリア16歳、レイ37歳。


セシリアの誕生日。


誕生日パーティーが開かれていた。


そこには家族やレイ、アミーリア、エイベル、ハワード夫妻がいた。


レイ「誕生日おめでとう、セシリア。」


セシリア「ありがとう、レイおじ様。約束…覚えてくれてる?」


セシリアはレイの手を握る。


レイ「……セシリアの気持ちは変わっていないのかい?」


セシリア「もちろんよ。」


レイ「分かった。二人きりになれる場所に移動しようか。」


セシリア「ええ!」


セシリアの誕生日の数か月前に、レイは周りの人間に話をしていた。


その為、誕生日パーティーで二人きりになると言っても、止める人間はいなかった。


二人は庭園を歩く。


レイは咲いていた赤色のアネモネを一輪摘み取ると、セシリアに手渡した。


レイ「セシリアは花言葉に詳しい?」


赤色のアネモネを受け取ったセシリアは、


セシリア「知っているわ!レイおじ様!ううん……レイ!その花の花言葉!知ってるわ!」


レイに抱きついた。


レイ「“君を愛す”……赤色のアネモネの花言葉だよ。」


レイもセシリアを抱きしめ返した。


セシリア「レイ……大好き。」


レイ「セシリア、僕のお嫁さんになってくれるかい?」


セシリア「もちろんよ!」


二人は体を離すとキスをした。


遠くから離れた場所から、見守っていたハワード。


ハワード「ふふっ……レイ様。」


ディル「兄さん?ひょっとして、二人を見ているんですか?」


普通の人間では、レイとセシリアを視認するのが難しい距離。


しかし、ハワードは二人の様子が見て取れた。


ハワード「ディル。娘を嫁に出す気分はどうだ?」


ディル「兄さん!」


ハワード「私達には子供が出来なかった。ディルの子供達は、私達にとっても自分達の子供のように感じているんだよ。」


ディル「分かっています。子供達をとても可愛がってくれているのも知っています。」


ハワード「娘がいたら………こんな気持ちだったんだね。あぁ……。」


うっすらと目に涙を浮かべるハワード。


ディル「兄さん……。」


メイ「レイ、セシリアの押しに負けてしまったわね。」


ディル「ふふっ、セシリアはメイにそっくりだよ。チュッ。」


メイの頬にキスをするディル。


メイ「そうかもしれないわね。」


ディルの腕をギュッと抱き締めるメイ。


そうして、レイとセシリアは結婚した。


翌年、シーラが産まれた。

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「チヤホヤ」の下書き Y.ミルキー @y-miruki

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