鏡越しの恐怖
この手紙は先生?に向けて書かれたものなのかな。
助けてくださいって書いてあるぐらいだから相当困っていたのか、それともこの赤い字が関係しているのか。
こんな廃学校にあるとは思えないし、なんでこんなところに......
私は手紙について考えながら、安堵している。
さっきあの天秤の時間に間に合わなかったらどうなっていたか、考えただけで背筋が凍るような感覚に落ちいる。
でも休んでいる暇はない、みんなを探さないといけないしあの化け物もいつここに来るかわからない。
「よし、次は2階だね。念のためこの鍵と手紙は持っていこう。」
私は地図を見ながら2階へ行くルートを考える。
2階に行くためには西階段か東階段を使っていくことになりそうだね。
家庭科室からだと西階段が近そう。
「あ、でもこの階には給食のワゴンが集まる部屋があるみたいだし一応見てみようか。」
給食のワゴンの部屋はこの階の反対側東階段の横の部屋みたいだ。
私は家庭科室から出て目的の部屋に向かった。
廊下はさっきと変わらず、私の足音だけを響かせている。
まるでここには私しかいないと突きつけられているようだ。
家庭科室からワゴンの部屋までいくのはそんなに遠くはないはずなのに無限にも感じられる。
「ん?これは鏡かな」
廊下の奥の壁が一面大きな鏡になっている。
不気味だ。なんでこんなとこが鏡張りになっているのか。
「今はとりあえずワゴンの部屋に入ろう。」
私は鏡を一旦無視して部屋に入った。
中は思ったより広くワゴンが数台残っている状態でそれ以外は何もない部屋みたいだ。
ワゴンに何か乗っているわけでもなく、ただ存在してるって感じ。
「これは.....ワゴン用のエレベーターかな」
この部屋にはワゴンを各階から運んでくるためのエレベーターがある。
「うーん...動きそうにはないかな?」
ボタンを何回か押してみたけど何も反応しない。扉も私の力じゃ開けられるわけないし。
まあそりゃこの廃学校で動くわけないか。
私は何もないことを確認して部屋を出た。
「やっぱりこの鏡は大きすぎるね」
鏡を少し見て、なぜここが一面鏡張りなのか少し考えている時だった。
ガラガラガラ!!
家庭科室のほうから教室の扉を開ける音が聞こえた。
「ん?!」
後ろを振り返れない。寒気がする。冷や汗がすごい流れ出る。
ズルズル……ベタベタベタ!!
「あれは……まずい!逃げなきゃ」
鏡越しに勢いよく這いずってくるナニカが見える。手を激しく地面に叩きつけながらものすごい速度で迫ってきてる。
私は無我夢中で階段を上り2階に逃げた。
階段を駆け上がった目の前には理科室がある。
「あ、開かない!」
鍵が閉まってる。
ベタベタベタバタンバタン!!
ほ、他の教室に逃げないと.......
隣は2年3組の教室、鍵開けてる暇なんかない!
ズルズルズル……
音がすぐそこまで来てる。
「階段を上がってきたんだ」
2年3組の隣の教室は運のいいことに開いていた。
階段を上がってきたナニカと目が合う。
急いで中に入って扉を閉めた。
「あいつは中に入ってくるのかな。」
私は急いで隠れる場所を探す。
この荒れた教室で隠れる場所なんて……
ズルズルズルズ……
さっきまでの手を激しく使いながら這いずってる音じゃない。
音が消えた。いなくなった?違う絶対に教室の前で止まった。
まずい、早く隠れるところを....
ガラガラガラ……
ズルズルズルズル……
教室に入ってきた。
心臓の音がうるさい。
這いずり音がずっと響いている。
ーーーーーーーーー
ガラガラガラ……
やっといなくなった?
教室には私の心臓の音と息をのむ音しか聞こえてこない。
ガチャン
掃除ロッカーの中から出てきた私は周りにあの化け物がいないか確認した。
「いないみたいだね。完全に死んだと思った。」
私はその場に座り込んだ。
さっきあの化け物が追いかけてくるとき鏡越しに完全に目があった。
いままで感じてきた恐怖とは完全に違う、
死の恐怖。
あの顔を思い出すだけで体の芯が冷える。
目の中は真っ黒で口が裂けている血だらけの女の子?のような見た目をしていた。
まだ足が震えている。立ち上がれない。
「みんな生きているんだろうか。」
考えたくないけど、もしかしたらあの化け物に捕まったなんてことだってあるかもしれない。
でも....動かないと何も状況は変わらない。
私はまだ小刻みに震えている足を動かして立ち上がる。
「みんなが襲われる前に絶対に合流したい。」
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隔日 18:30 予定は変更される可能性があります
裏校舎にて コラこと @korakoto08
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