第11話 はじめての

「はじめての」


はじめての麦わら帽子、父が買ってくれた。


はじめての何々。

これは、はじめての何々。

思い入れがある。


何でもはじめてのをつけて、特別なものになり、特別なものが、

どんどん増えていく。


はじめての何々が多すぎて、ありがたみもなくなる。

特別感もなくなる。

しかし、はじめてのは、やはり大切な思い出として

いつまでも心の中にあるのだから。


私をつくった、はじめてのことたち、はじめてのものたち。


夏になると今でも、この麦わら帽子を出してみたくなるのである。


思い出の糸口たどるはじめての

自分ひとりの思いにあらず

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