「とある日の出来事」 殺人姫:枷取菜緒は幸せに たい
sterben
第1話 とある日の出来事。
菜緒の実家の屋敷の庭・・・結界で守られた空間で三人の子供が向き合っている。
一人目は、一部が赤い黒髪に黒い左目と赤い右目のオッドアイの背の低い少女。【枷取菜緒】
二人目は、ピンク色の髪で赤っぽい目、三人の中で一番背の高い少女。【四谷千賀】
三人目は、金髪に青い目、声変わりもしていない、二人の丁度中間の背の少年。【木実悠】
菜緒が幼馴染二人を鍛える為に呼んでいた。
* * *
「悠と千賀ちゃん…二人ともある程度基礎が出来てきたから、今日の稽古は二人で組み手をしてもらおうと思って。」
悠が手を挙げ、「菜緒姉は何すんの?」と言う。
「私は二人の動きを見ながらちょっとした実験をしようかなって」
『家事や依頼なんかで時間なかったから今のうちに試しておかないと…。』
千賀が「実験って、どんな実験をするの?」と聞く。
「耐性の確認かな?…お喋りはここまで。二人とも少し離れてさっさと構えて」
「「はーい」」
10m程、間を空けて悠と千賀が同じ構えを取る。そして、次の瞬間には一瞬で距離を詰め組み手を始める。二人は常人には目で追えない速度で攻防を繰り広げる。
* * *
『…千賀ちゃんは身体能力は高いけど、痛みに慣れてないから防御・回避が多い。悠は何回も大怪我したことがあるから、千賀ちゃんよりも踏み込めてるけど、単純に体術が苦手。』
「千賀ちゃんはもっと踏み込む!、悠、攻撃が直線的過ぎる!」
菜緒が二人の組み手を見ながら、動きを分析し二人に指示を出す。
数分、二人の組み手を見ていた菜緒が動く。
『そろそろ私の実験も始めないと・・・。』
菜緒は二人から少し離れて庭に座り、何も無かった空間に渦を作り出し手を入れ、渦の中から禍々しいナイフと爆弾を取り出した。
渦の正体は菜緒の能力の一つ、《異空庫》の取り出し口。
『ダイナマイト?と、私に傷をつけられるナイフ…伴でもいいけど試し斬りって事でいいかな』
ナイフを躊躇なく腹に刺し、「ズシャッ、グチャグチャ」と音を立て自身の腹を開く。
『ちゃんと切れた。次は邪魔な内蔵を引き抜いて…ダイナマイトを詰めて、お腹を《再生》』
菜緒は爆弾のスイッチを片手に持つ。
『爆弾…外からだと服が焦げるだけで無傷だったけど内側から爆発したら、どうなるかな?』
そして、菜緒がスイッチを押し、「ドカーン」と爆音を響かせた。
一方二人は組み手をしながら、悠は『菜緒姉、お腹切ってるけど何してんだろ?』と考え、千賀は『お腹に何か入れた?痛くないのかな』なんて考えていた。そして…
「ドカーン」という爆音を聞く。
爆音の後、「ビチャビチャ」「バシャッ」と赤いモノが庭中に飛び散った。菜緒の肉片だ。
二人は菜緒だった赤いモノを頭から浴びる。
悠は菜緒の大量の血や肉片を見て気分を悪くし、「オエッ」と吐いた。
千賀は…口元に垂れてきた菜緒の血を舐めてしまった。
…菜緒の血は猛毒に等しく、耐性が無ければ浴びるだけで死んでしまう。そして、始祖と一部の真祖以外のヴァンパイア・ダンピールは一滴でも飲むと灰になって死んでしまう。
* * *
「ぐッ…、グァああッ…はぁ、はぁ…。」
千賀はギリギリの所で耐え続け、何とか菜緒の血へ耐性を獲得した。いつのまにか背中に羽が生えていた。
悠は元々、菜緒の血で再生を体験して耐性を持っていた。
菜緒は肉片から《再生》した後、吐き気で気分が悪くなっている悠に、千賀が耐えている間ずっと正座をさせられていた。服は燃えて無くなった、服の取り出しも却下された。「反省するまでそのままだから!動いたら、鈴姉にチクるから。」と、釘も刺された。
「…菜緒姉、何か言うことは?」、「……」
菜緒は目を逸らしているが、悠がもう一度、「菜緒姉?何か言 う こ と は?」と言うと。消えそうな小さい声で「…ゴメンナサイ。」と、謝った。
千賀も何とか息を整え、正座している菜緒の前に座る。
「ふーっ。で、菜緒ちゃん…何でいきなり爆散したの?後、背中から羽生えたんだけど何で?」
「菜緒姉、詳しく説明!!」
二人はキレながら菜緒に詰め寄る。菜緒はゆっくりと説明を始める。
「…悠の術の位置入れ替え見て、内側からの攻撃の可能性を考えて…」
「「それで?」」菜緒は小声で、「…お腹に爆弾詰めて…起爆しました。」
悠と千賀は呆れながらため息をついた。
「それで何でアタシの背中に羽生えたの?」
「…多分、私の血を舐めて、進化?したから…だと、思う。」
「進化?」「ん。」「何に?」「…多分、ヴァンパイア。」「ヴァンパイア…」
「ダンピールからヴァンパイア…。」「羽も収納できる、と思う、よ?」・・・・・・
菜緒と千賀が会話している中、悠は「菜緒姉なら何でもありだし、進化とかしてもおかしくないか…。」と納得していた。
そして、お説教開始から、一時間以上経過した所で悠が、「じゃあ、ま、ここらでお説教終わりにするかな」と菜緒ちゃんへのお説教を終わらせた。
「菜緒ちゃん、ちゃんと反省してる?」と千賀が念を押し、悠が、「菜緒姉、次なんかやらかしたら鈴姉の写真渡すのやめるからね。」と、鈴の写真を人質にする。
「…ん。」
* * *
お説教終わりに悠が「疲れたし、今日の稽古も終わりで良い?」と軽い感じで聞くと…。
菜緒が服を着ながら「じゃあ二人で私に攻撃当てられたら終わりで良いよ。…私も手加減しながら反撃するけど。」
「「え…」」
菜緒の手加減とはギリギリ死なない程度という意味であり骨は折れるし、内臓は潰れる。
「さっさと構えて?」
一瞬で菜緒の姿が消え、悠と千賀は反応できず全身の骨を折りながら庭を転がっていった。悠は再生出来ずサポートに徹し、千賀は再生出来たがやっぱり庭を転がされ続けた。
…その後、数時間かけて菜緒の肩にギリギリ、千賀がパンチを掠めてその日の稽古は終わりになった。
* * *
…これは、菜緒にまだ腕が二本あった頃(小学二年生)、千賀がヴァンパイアになれるようになり、悠がグロ系が苦手になった日の出来事…。
実は、菜緒、夜中にこっそり、お腹に爆弾詰めて起爆しなおしていた・・・。今度はバラバラにならずに耐えれたとさ。
…To Be Continued?
「とある日の出来事」 殺人姫:枷取菜緒は幸せに たい sterben @sterben_dead
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