第4話 そよ風吹いて
「なんで見つかんないの?」
うろうろとディオロイ城にある庭や倉庫の周りを歩いてシャロを探すシャーロット。ずっと持ったまま歩いている剣の鞘が倉庫の角にコツンと軽く当たり立ち止まり機嫌が悪そうに舌打ちをした。シャーロットの様子に護衛についている人達が顔を見合わせ苦笑いをする
「シャーロット様、もし本当に魔術師ならそう簡単に見つかるとは……」
「おい」
「シャーロット様に魔術の話しは禁止だ」
「ああ、そうだった」
聞かれないようにヒソヒソと話すが、話の内容がシャーロットまで届いて少し振り向き警備達を睨む
「本当にムカつく」
そう呟いたシャーロットの言葉は警備達には届かずに、まだヒソヒソとお喋りをしているのを見て、フンッと振り向いていた顔を戻してドスドスと無理やり足音をたてて歩くシャーロット。その不機嫌そうな足取りをシャロが倉庫の屋根で座って見ていた
「リリー、あまり知らない人と遊んじゃダメだよ」
「知らない人じゃない。シャロと同じ顔」
「そうだけど、なんとなく違うじゃん」
シャロと話ながら周りをぐるりと一周して左肩に止まったリリーもシャーロットを見た
「また会いに行く?またパン貰おう」
「嫌だよ。今度は結界でも張られたらどうするの?」
「シャロが壊せばいい」
「簡単に言うね」
呆れながらリリーに返事をすると、立ち上がりうーんと背伸びをする。リリーも動いてくるりとシャロの周りを回って今度は右肩に乗り直した
「リリー、帰るよ」
そう言うと、倉庫の周りにそよ風が吹いて屋根にあった落ち葉が舞う。そよ風が倉庫から離れようとしていたシャーロットにまで届いて、ふと屋上を見上げた
「シャーロット様、もう入らないように結界を張りますか?」
そよ風が吹く音が止み今度は魔術師達の声が聞こえて、視線を倉庫の屋上から魔術師達に変える
「そうね、もう二度と入れないようにね」
「ええ、もちろんです」
魔術師達が返事と共にペコリと深くお辞儀をすると、今度は強い風がシャーロットに当たり、少し目を細目ながらまた倉庫の屋上に目を向け持っていた剣を屋上に向けた
「今回は逃がしてあげるけど、次に会ったら私の剣で倒してあげるから」
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