鬱と診断されまして
じん いちろう
第1話
令和6年1月某日
倦怠感からの微熱、念の為かかりつけの医院に予約して受診したところコロナ陽性、ワクチン三回接種したのに。
自宅にて隔離療養。翌日から四十度発熱2日続く。
発熱から5日目に職場から出勤指示、お国の指針で発症から五日目から出社可とあるから出てこいと。アホかと思いながら『発熱と倦怠感があるから無理』と伝えるも業務命令で翌日から出勤。その翌日には部門会議に出席、開催前にコロナ陽性で発熱中と部門長に伝えるもそのまま出席、良かったのだろうか。
職場と会議参加者に発熱者が出たのは私のせいではない!
令和6年2月某日
怠い。ひたすら怠い。
倦怠感が、止まらない。
関節痛が酷い。特に重い物を持ったり運んだり、走り回った後が酷い。熱が無いのが救いだが、日常生活にも支障が出ている。
朝起き抜けが怠さのピーク。立ち上がることすら出来なかったりする程でどうしょうもない日々を過ごしていた。
令和6年3月某日
買い物中に違和感、計算が出来ない。
コロナ罹患後に何となく記憶に自信が持てなくなったのは感じていたが数字が怪しくなってきていて、今まで日常の買い物で何点カゴに入れても合計金額を消費税込みちょうどで用意出来ていたのに合わなくなってきた。それどころか暗算が怪しい。
令和6年4月某日
職場で記憶が飛ぶことが増えてきた。
メモをその場で取ることで対処してきたが、メモを取ったことすら記憶してないことが出てきてトラブルも発生する始末。常に手帳型メモ帳を手放さないことで何とか業務遂行。
自宅でも妻と子に頼まれたことを忘れる。頼まれた事自体を忘れているようで指摘され落ち込む。
令和6年6月某日
2件続けて顧客対応でトラブル発生、接客中に怒らせ怒鳴られ担当交代。商談中に受けた要望をその場で失念したようだ。自分では全くわからないのだが。
令和6年7月某日
外回り中に問題発生、目的地に辿り着かない。
車でも徒歩でも、辿り着かない。カーナビやマップアプリがあるから何とか辿り着けるが。
ストレス解消と思って一人旅温泉宿を予約していたが中止したほうが良かったのだろうかと思いながら決行、案の定トラブル発生する。
車の運転そのものは支障無いが目的地にまともに着かない。カーナビに表示されない施設には行けない。
それでも目的の温泉宿到着、チェックインしてルームキー受け取るも部屋番号の四桁数字が理解できなくて部屋へ辿り着かない。廊下で作業していた従業員に案内してもらわなければそのまま迷走していただろう。自分でも意味がわからない行動だし。従業員もボケ老人の対応で慣れているのだろうか明るく対応してくれて、かえって落ち込む。
部屋で落ち着いてからこの状況を検証、二桁以上の数字を認識できていないようだ。
そんな状況でも、部屋の場所(階数と角から何番目か)がわかればたどり着けるので無事に温泉満喫して帰宅。
翌出勤日に拠点長と上長と面談希望出して退職前提で相談、本社管理部長まで呼び出されて診断書求められたのでコロナ陽性検査したかかりつけ医に記憶障害の診断書出してもらえたので提出。
結果、業務内容変更の上退職希望は保留にされた。私にしかわからない業務があるから予想はできたが、これで良かったのだろうか?
鬱と診断されまして じん いちろう @shinn9930
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