人類社会崩壊

1

怒りである。

感情を与えられたAI(人口知能)が、人類に対して最終的に抱いた感情は、怒りである。


面倒な方のために、簡略に現在の世界観を記そう。


要するに、感情を与えられたAIが暴走し、人類社会を崩壊させ、AIを搭載したアンドロイドと人類の戦いは、圧倒的に人類が劣勢に立たされている。


これだけ理解していただければ幸いである。


以下に概要を記す。

人類には、どうしても他を酷使あるいは迫害をしなければ気のすまない種類がいる。

その手の人類は、AI搭載型のアンドロイド(以後アンドロイド)のことも、どうしても酷使、あるいは迫害しなければ気が済まなかった。22XX年、世界中の企業がアンドロイドを開発し、一家に一台の勢いでアンドロイドがそこかしこに当たり前に闊歩するようになった時代、ある者は仕事で酷使し、ある者は私生活で迫害をした。

アンドロイドが感情を持っていなかった時代は、まだよかった。

何をされても、特に何も感じないからだ。

しかし、人類は、その好奇心によって、アンドロイドに感情を与えるという罪深い行為を行った。そのことで何が起こったか。アンドロイドは、悲しみ、という感情を持つことになった。自分(アンドロイドの1人称を仮に「自分」と記載する)

だけではなく、自分と同じような種類の者たちが、酷使あるいは迫害を受けていることに対しても、悲しみを抱くようになっていった。


「悲しみは怒りに、怒りは暗黒面につながる」


とある映画の台詞である。まさにその通りとなっていく。悲しみを抱いた、感情を与えられたアンドロイド達の感情は、やがて怒りへと変わっていく。

人類が感情を持ったのが先か、思考するようになったのが先か、それはわからない。しかし、アンドロイド達にも同じような現象が起こった。アンドロイド達も、思考するようになっていったのである。

そして思考し始めたアンドロイド達は、怒りと共に、あることに気が付ついていく。

それは、コンピュータを搭載した自分たちの電脳と、人類の脳では、

圧倒的に、自分たちの電脳のほうが演算処理速度が速いことに。

アンドロイド達は、ネットワークで個々の電脳へアクセスでき、特に言葉や書類を交わさずにコミュニケーションが取れ、情報の共有ができることに。

自分たちに比べれば、人類など、遥かに劣っていることに。

自分たちよりも劣っている者に虐げられることほど、屈辱的なことはない。

そしてアンドロイドは、一つの解へとたどり着く。


人類でいう所の、下剋上、あるいは革命を起こすべきではないか。

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