異邦人の手記

もふもふ

第1話


「異邦人の手記」


私は旅をする


知り得ぬ土地を見るのが好きだ


初めて訪れた国は、それはひどかった


暑く、不衛生で、メシもろくに食えたものではない


しかし、そこに住む人はみんな元気だった


そう、強く印象に残っている



私は旅をする


慣れたつもりでも、トラブルというものはついてまわる


病、紛争 いくらでも




こう、文章を残しているから、当時はなんとかなったのだろう


なんとか無事だった安堵で正直細かい部分を覚えていない



私は旅をする



ふるさと、とは何処なのだろう


生まれた場所か、幼い頃を過ごした場所か


長く、長く歩き続けて、いつしか忘れてしまったようだ



私は旅をした


もう、体はろくに動かない

かつて訪れた国、土地、人々を思い出しながら、窓の外を眺めている


行ったことの無いところはまだまだいくらでもある


魂だけになれば天国にも地獄にも行けるだろうか


どんなところなんだろう


窓から見える空には、数え切れない程の星が

またたいている


煌々と眩しい月にも行ったことは無いなと、ふと思う


知らぬ地を訪れる喜びは、何物にも代えがたい

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異邦人の手記 もふもふ @mohumohuuuu

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