移りゆく季節

もふもふ

第1話

「移りゆく季節」 もふ山もふの進



ざぁざあと、水が屋根を叩く


もう一週間にもなるだろうか


しばらく太陽を見ていない


毎年の事とはいえ、うんざりする


蒸し暑いし湿気はすごい

早く夏が来ないものか


長雨で引きこもっているが、いい加減に飽きた


繁華街にでも行こう


そう思い、出かけたまでは良かった


出掛けてすぐに傘が壊れなければもっと良かった


仕方がなく、屋根付きのバス停に避難する


時刻表を見ると、あと1時間はバスは来ない


ずぶ濡れになって帰るのも癪だなぁと思い、スマホをいじりながら時間を潰していると、ちらほらとバスを待つ人が増えてきた


その内にバスが到着して、乗り込む


座席に座りホッと一息ついて、目を閉じると妙な気配を感じた



目を見開き周囲を見渡す


乗客全員が全裸だ





しまった!全裸の里の追っ手だ!


まずい、数が多すぎる!


じりじりと全裸が近付いてくる


降車ボタンを連打すると、苦虫を噛み潰したような顔をした全裸の運転手はバス停で止まってくれた


私は料金箱に小銭をぶち込み、逃げるようにバスを降りる

しかし数人の全裸が私を追い、降りてきた



全裸には全裸で相対すべきだが、多勢に無勢



全裸になったとて生き残れるのか


どうしようか必死で頭をフル回転させていると、いつの間にか雨は止み、太陽が私と全裸をじりじりと照りつけている



私の額に一筋の汗が流れた



そして、1人の全裸が突然倒れた


彼は小刻みに痙攣している


おそらく熱中症だ


私を無視して、周りの全裸が倒れた彼を囲み介抱しようとするが

熱中症患者に対して全裸が出来ることなんて無い


「頼む!救急車を呼んでくれ!!」


1人の全裸が私に懇願する

私はすぐにダイヤルし、程無くして救急車とパトカーがやってきた


搬送される全裸

連行される全裸



空には虹が掛かっている



もう梅雨明けかな

今年の夏も暑くなりそうだ

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移りゆく季節 もふもふ @mohumohuuuu

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