第零部隊
@tsunamaya
第1話 西村修太郎という男
Side修太郎
————ポツポツ
ちぇっ、雨が降ってきちゃった
せっかく疲れた体に鞭打って勉強してきたのについてないなー
さて、ちょっと切り替えてっと。
やあやあ、どこかでこの物語を読んでいる皆様、ごきげんよう。僕はこの物語の主人公、西村修太郎だ
この世界について何も知らない皆様に是非色々教えてあげようじゃないか
まずは自己紹介だな
さっきも言った通り、僕の名前は西村修太郎。まあ割とどこにでもいそうな名前だね。でもそれがまた良いところだよね。知らんけど。
それでなんだっけ?ああそうそう、自己紹介だったね。僕は現在緑ヶ丘中の中学3年生。時期は梅雨。なうで雨が降っていて不愉快極まる。
僕は他の奴らと違って部活に入ってるわけでもなければ彼女がいるわけもなく、なにか趣味があるわけでもない。いや、正確にはあるけど現在できるような趣味ではない。それについてはまたあとで説明しよう。それで、こんなにも何もない僕だけど、実は小さい頃から抱いていた夢がある。それが、魔道具制作会社に入ることだ。
———魔道具。
今から60年前、だっけか?の、2030年に突然、人間は魔力に目覚めた。魔力についてはわかっていないことも多いし、ていうかわからないことだらけで正直説明はめちゃくちゃむずいんだけど、簡単に言うと人間からとめどなく溢れてくるエネルギー、とでもいえばいいかな?
このエネルギーはたとえ一度使い切ったとしても時間が経てばまた使えるようになる。この性質を利用して21世紀前半で問題視されてたエネルギー問題とか環境問題なんかは一気に解決されたんだ。
それで、その問題を解決する過程で魔力工学、魔力を用いたものづくりの分野がとんでもなく発展したってわけ。現代において魔力がない生活なんて考えられないね。
話は戻するけど、僕自身生粋の魔道具オタクなんだよね。しかもその中でも魔導兵器、ひいては魔導兵装に興味があるんだけど、魔力を用いた兵器は原水爆なんかよりもさらにすごいエネルギーを扱って一発で星を壊しかねないから、国際法で製作が禁止されてるんだよね。
禁止、というよりかは制限に近いか。例えば魔導銃や魔導装甲なんかはすでに開発されているし、よく創作なんかに出てくる「魔法」を実現しようという動きも結構盛ん。だから、禁止されているのはそれこそ星を壊しかねない爆弾だとかミサイルだとかかな。
そういう魔導銃とかを作っている会社に入りたいってのが僕の現時点での夢。その夢を叶えるために、最も暇で最も大切なこの時期に塾に通ってるんだ。それで、長くなったけど今がちょうど塾帰り。時計を見ると20時だね。さっきお母さんから「今晩はカレーよ〜♡」ってメッセージ来てたし早く帰りたいね。
僕の家は割と市街地にあるんだけど、塾が田舎だから塾と家の間は結構でかい田んぼが広がってる。だから家に帰るにはその薄暗くて人通りのほとんどない田んぼを突っ切らなければいけない。
怖い。普通に怖い。通り魔とか出てきたらどおしよう。僕はか弱い
でも、2090年6月17日というこの日に、そんな怖い思いをしながら突っ切った田んぼで出会ってしまったのは、通り魔なんて優しいものじゃなかった———。
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