3作目・ロボアニメ世界に転生したので、最高に気持ち悪い謎の仮面キャラを貫くことにする。

 皆さん如何お過ごしでしょうか。私は、少しマシになったと思った暑さが戻って来て、再びやられております。

 さて、ここまで正統派の時代小説、SFと2作ご紹介して来ましたが、3回目の今回はちょっと変わり種をご紹介しようかと思います。


【作品名】


『ロボアニメ世界に転生したので、最高に気持ち悪い謎の仮面キャラを貫くことにする。』 聖家ヒロ様

https://kakuyomu.jp/works/16818093091415497915


【レビュー】


 ― 『好き』を好きなだけ詰め込んだ。でも、Web小説ってコレで良いのかも? ―


 始めに、本作はガン◯ム・シリーズのパロディ、オマージュが多数収められています。むしろ、それがメインだと言っても良いかもしれません。

 そこに否がある人には向かないであろうと言う点は最初に申し述べておきたいと思います。


 さて、そんなオマージュてんこ盛りの作品ですが、そこに感じるのは確かにオマージュ元への『愛』であり、『好き』であると読者に強く感じさせます。シリーズのあちこちからファンならクスリとする様な場面が引用され、作品の各所に散りばめられています。


 ですがこの作品の凄い点は、『好き』を好きなだけ詰め込んだにも関わらず、それらを破綻無く繋ぎ合わせる世界設定にストーリー展開と構成力、更にはオマージュで有ると分かっていても尚、読者を引き込み夢中で読ませてしまう文章力にあると思います。

「クッソ、気がつけば夢中で読んじまったw」そんな気分になる事請け合いです。


「書籍化クソ喰らえ」とでも言わんばかりの(作者様がどうお考えなのかは分かりませんが)、『好き』をこれでもかと詰め込んだ作品はWeb小説でなければ成立しないであろう新しい小説のカタチなのかもしれません。

 皆さんも是非体験してみてはいかがでしょうか。


【作品紹介】


 内容に触れない様に紹介出来る部分は、正直上記のレビューで書き尽くした感もあるので、今回は若干内容にも触れようと思います。


 本作は、ガンダム風ロボットアニメの中に転生した主人公が、アニメの主人公サイドに立って共に戦い、原作の鬱展開を回避するべく奮闘する。と、簡単に言えばこれだけの話です。何故か仮面を被った言動の気持ち悪いキャラのロールプレイをして……


 ですが、まず原作アニメのストーリーが入念に作り込まれていて、本作のストーリーとの対比がなされる点が中々に秀逸で引き込まれるのです。

 例えば、「今は時系列的には原作第3話の辺りの筈だが、この間の戦闘で、xxをxxxしてしまったのでxxxxが起こらない」と言う様な描写が良く見られます。

 これを多用するのは、物語転生系の作品としては中々珍しい魅せ方なのではないかと思います。

 と言うか、他の物語転生系ではバックグラウンドでしかない原作が、この作品ではある意味もう1本の柱としてストーリーを構成しているとすら感じるのです。


 また、オマージュ部分を除いてみても、ロボットアニメ風SF小説として破綻の無い所も高評価です。オマージュ、世界観、ストーリー、シリアス、ギャグ等の構成要素がバランス良く纏って一つの作品を作り上げている。その才能他に活かせなかったのか!と世の親達の嘆きみたいな感想すら浮かびます。


 それと、二次創作であるか否かについては詳しくないので明言を避けますが、個人的には上手い塩梅でやっている。そう感じさせられた作品でした。

 個人的には書籍化がゴールと言う風潮に一石を投じると言う点からも考えさせられる作品となりました。


 ちょっと変なものを読んでみようかなと思った時にでも覗いてみて下さい。

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