二章02話 その名、クミコ=ぶくぶく茶釜
[newpage]#01 碑文に刻まれた名前
<クミコ=ぶくぶく茶釜>
碑文の最初に、
「何故、サトルじゃないんだい・・・」
「私にとって、御主人様は、御姐様です。サトル様は、御姐様の主です」
「ふぅーん」
「盃を、直さなかったんだね、サトルは」
「はい・・・いけなかったでしょうか」
不安そうな
「私の主は、サトル、いいわね」
「はい」
「なら、いいわ」
アンデッドの組織である、“深淵の躯”は、アンデッドの互助会として始まっていた。碑文には、グラズン・ロッカの名前が最初に刻まれ、内陣・外陣のメンバーが刻まれていた。
白の聖女と呼ばれていた、アンデッドなグラズン・ロッカの身体から、遺伝子と身体情報を抽出し、人間体「
[newpage]#02 新たなる実験へ
キーノが求めたコト、
「アンデッドの国民を、元に戻したい」
そんな、キーノ・ファスリス・インベルンの想いから、実験をおこなった結果であった。アンデッドになっても、元の身体について、遺伝子情報と身体情報は残されている。吸血姫となったキーノ・ファスリス・インベルンから抽出した、遺伝子と身体情報から、人間体「キーノ」を生成した。
都市に居た、アンデッドの一体から、遺伝子と身体情報を抽出し、人間体を生成した。だけど、人間の意識や記憶が戻らず、徘徊する人間となっただけで、人間体を維持するために、食事等の行動もしなかった。生体が維持できなくなり、壊死していった身体は、結局アンデッドになった。
「御姐様、意識は戻らないのですか・・・」
「あぁ、意識があれば、お前と同じだ。ま、お前への実験は、確認と事前準備さ」
「事前準備?」
「あぁ、
「子供・・・ですか」
「そうだ。キーノの侍女だった、実験体には、ナスターシャの姉、アベリアを使う」
侍女であったナスターシャの姉で、女騎士アベリアであれば、キーノが知っている相手なので、どの程度同じなのかが確認できる。
「わかりました」
「良いのかい・・・しばらく、相手は、できないよ」
少し笑みを浮かべて、
「この身、この心、すべて、御姐様に捧げております」
「私の子供だからな、しっかり育てるんだよ・・・」
「はい・・・ぁっ」
<<<R-18規制中>>>
[newpage]#03 内陣、
真夜中であったが、街の薬屋として、ポーションを生成して販売していた、三人の女が、サトルの前で平伏していた。
一人は、ちょっと年齢は高めだけど妖艶な女性で、一人は同じように妖艶だけど年が若そうな女性、一人は幼そうだけど美人な女性だった。顔立ちは、三人とも同じようなので、血族のようであった。
「お前達・・・いや、姿を見せよ、隠れしモノよ」
サトルが、カッコよさげに声をかけると、
「サトル、カッコイィ」
傍らのキーノが、突っ込む。キーノの肩口から、
「魔王は、やっぱサトルだね」
雰囲気からすると、かなり台無しである・・・そんな、状況ではあったが、平伏した三人の女の髪から、
「話はできるか」
すると、
「「「はい、この身体であれば、話せます」」」
寄生している宿主を介すると、喋れるらしい。
「名は、あるか」
「
「人の意識は、あるのか」
サトルの問いかけに、
「はい。ございます」
「お前達には、名があるのか」
「はい。私の名は、アリシア・ゼルディア、妹のユリシア・ゼルディア、この娘は、私の娘シエル・ゼルディアと申します」
サトルが確認すると、彼女達は、八欲王と竜王達の戦いに巻き込まれて、滅んだ国の生き残りだった。安住の地を求めて、旅をしている途中で、
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