一章16話 異世界ギルドAOG結成

[newpage]#01 旅立ちの準備

 木馬なゴーレムが、馬車を曳いて、御者には、人間体「サトル」がついて、荷馬車を走らせていた。サトルが、木馬の形に木組みして削って形を整えて、ゴーレムを召喚すると、普通に使役可能なゴーレムが出来上がった。

「おぉ、凄いねぇ、サトル君」

「クミコさん」

 私クミコこと、ピンク色の肉棒な粘体Pink Elder Oozeが、サトルの造ったゴーレムの馬を見て、出来上がった姿に感心していた。


 私クミコは、平底箱型に組み上げた台車に、曲がり易い中空の竹を縦に割って、馬蹄形の枠を組み、籠目に編み込んだ、細い竹細工で覆い被せるように仕上げた、幌車を曳いてきていた。

「これが、幌車ですか、綺麗ですね」

「そうかな、籠目を粘体スライムで覆うから、雨風は防げるよ」

サトルが、木馬のゴーレムを、幌車に取り付けて、幌馬車へと仕上げていく。ピンク色の肉棒な粘体Pink Elder Oozeが、籠目を薄く覆って、透明な膜を形成していく。


 アンネ・ファスリス・インベルンに抱き上げられて、金髪白肌虹瞳アルコパーナの少女「キーノ」が、中庭へとやってくる。

「母様、自分で歩けます」

「ほらほら、最後なのだから、運ばせてね、キーノ」

 木馬が曳く幌馬車に近づいて、ゆっくりと幌馬車にキーノを下すと、

「インベリア王国には、私が残るから、貴女は旅に出なさい」

「母様・・・」

 応えながら、キーノは、泣きそうになっていた。

『ほんとの、母様みたいです、クミコ様』

『演技を重ねれば、本物になるかもね、キーノ』

 キーノは、私クミコが演じるアンネに対して、母親と違う声、違う人間のハズだけど、母親のように感じていた。


[newpage]#02 異世界ギルドAOGの「盃事」

 私クミコが、分体を寄生させた、「王妃アンネ」「侍女ナスターシャ」「女騎士アベリア」を、サトルが召喚した、デスナイトやデスウォリア、魂喰らいソウル・イーターを護衛に残して、王城を拠点とした調査に出ることとした。


 私クミコとサトルは、異世界転移したことは、間違いなさそうだ。

『異世界転移か・・・新しいギルドAOGを創りますか、クミコさん』

『新しいギルド?』

『はい。ギルドAOGは、異形種と社会人でしたけど、キーノが人間種に戻ったら、あけみさんと一緒になるから』

『あぁ、ギルドAOGのメンバーに、あけみは入れなかった』

『だから、新生ギルドAOGは、種族の枠を外します』

 餡ちゃんのように、新垢で申請したギルドメンバーは、元々の異形種ではなく、人間種というか本人自身の姿で、戻ってきたギルメン達も多かった。

『つまりは、人間もありってことね』

『はい。だから「盃事」をしませんか』

『「盃事」かぁ、サトルとキーノに私で「契り盃」する?』

 私クミコと、サトルが交わした、神事三々九度に合わせた、「契り盃」を「盃事」としておこなった。


[newpage]#03 異世界ギルドAOG

 名称は、ギルドAOGのままで、「盃事」による、メンバーの確立を図った。

 最初に後見人をサトルとキーノとして、クミコを親として、王妃アンネ、侍女ナスターシャ、女騎士アゼリアの三人と順番に、「親子盃」を交わした。疑似親がクミコで、王妃アンネが疑似子となり、王妃アンネを疑似親、長女に侍女ナスターシャ、次女に女騎士アゼリアを姉妹盃とした。


 サトル、クミコ、キーノの三人による「盃事」、王妃・侍女・女騎士を立会人として、三々九度の「契り盃」を交わして、ギルドAOGメンバーとなることを決定した。


 私クミコは、Nazarickの時と同じく、サトルにすべてを捧げると宣言して、「契り盃」を交わした。キーノとの盃では、

「サトルが、ご主人様ね、キーノ」

「はいっ」

 キーノが、元気よく返事して、サトルとの盃を交わす。


 ここに、異世界ギルドAOGが、「盃事」によって結成された。




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