引き裂かれても

星空 花菜女

継ぎ接ぎ



ふたつに引き裂かれても 変わらない


みっつに引き裂かれても 変わらない


よっつ……いつつ……むっつ……



バラバラ 粉々になってもかわらない


そんなものは ないと思っていた


壊れたら終わり


粉々になったら


もう元には戻らない


消えると思ってた




けど 違った


夢の中に見たことがない建物が現れて


沢山の小さな部屋があって


恐るおそる扉をあけてみると


眩しい光の中に


まるで砂浜に流れ着いた貝殻のように


粉々になった欠片が点在していた



なぜかわたしは時を忘れて拾い集める


ひとつまたひとつ……


その中のひとつを手のひらにのせて 


そっと耳をあててみた




聞こえてきた 言葉じゃない


心に響く 何かを 感じる


音のような 振動のような 懐かしいような


くすぐったいような…… 

 



バラバラに引き裂いたのはわたしなのに


過去の記憶を消したくて


バラバラに引き裂いたのに


時が過ぎて欠片を


繋いでみたら 泣きたくなるほど


どの欠片も優しかった




継ぎ接ぎだらけの記憶


もしかしたら都合よく継ぎ接ぎしてる


だけかもしれないけど


それでも過去と向き合えた



欠片はずっとかわらない




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引き裂かれても 星空 花菜女 @20250317

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