第7話 由美vs佳奈 ハイブランドバーゲンセールキャットファイト

ハイブランドのバーゲンセールでの由美と佳奈の取っ組み合い喧嘩


「もう許さない……あなたなんかに負けるわけないじゃない!」佳奈が叫びながら由美の長い黒髪を鷲掴みにした。


店内の陳列棚がぐらぐらと揺れ、シャンパンゴールドのバッグが床に転がる音が響く。周囲の客たちは悲鳴をあげて距離を取り始めたが、誰も止めに入ろうとはしなかった。二人の間に割り込む勇気などあるはずもない。


「離しなさいよ!このブス!」由美は怒声を上げると同時に佳奈の顎を平手打ち。パシンという乾いた音が店内に響き渡った。


「あんたこそ鏡見たことある?」佳奈は鼻血を拭いながら嘲笑し、由美のジャケットの襟元をつかむと力任せに引き裂いた。高級ウールの布地がビリビリと裂け、肩口まで大きく広がる。


「何すんのよ!」由美は激昂して拳を振り上げた。その一撃が佳奈の頬を捉えると、彼女は数歩後ずさりながらも倒れずに踏みとどまった。


「よくも……」佳奈は唇の端から垂れる赤い液体を指先でぬぐうと、由美の腰にしがみついた。「捕まえたわ!」


「離れろ!」由美は必死に身をよじるが、佳奈の細腕からは想像もつかないほどの強靭な力で締め付けられていた。


次の瞬間、佳奈は体重を乗せた頭突きを由美の額に叩き込んだ。ゴツンという鈍い衝撃と共に、二人とも一瞬目眩がする。


「……この!」由美は痛みに耐えながらも佳奈の耳をつかみ、無理やり顔を引き寄せると鋭い犬歯で噛みついた。


「ぎゃあっ!」佳奈の悲鳴が上がる。しかし彼女はすぐに反撃に出た。今度は由美の腕に思いっきり噛みつく。


「痛いっ!」由美が叫ぶが、佳奈は決して口を開けない。血が出るほどではないが、筋肉に食い込むような痛みだ。


二人はそのまま揉み合い、ついには床に転がった。周りの陳列品を蹴散らしながら絡み合って倒れ込み、それでも互いに離そうとしない。


「あんたみたいな奴に負けたくないのよ!」由美は涙混じりの声で叫びながら、佳奈のワンピースの裾を乱暴に引っ張り上げた。


「そんな格好してお高く止まってんじゃないわよ!」佳奈も負けじと由美の髪を鷲掴みにし、床に叩きつけようとする。


観衆は息を呑んで見守っていた。誰も止めに入らない。これが二人の世界だとわかっているからだ。


そして二人の戦いは終わらない。お互いへの憎悪が燃え尽きることなく、ただひたすらに相手を打ち倒そうと闘争本能だけが残っていた。


その日以降、あの高級店では日本美人二人による大喧嘩があったという噂がしばらくの間語り草になった――だが、それが実際どんな結末を迎えたのか知る者はいない。

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