黙々と魔法を使いたい冒険者

@pqrr

第1話 冒険者へ、そして気持ちよく魔法を使うための前準備

「(書類を手渡す)お願いします」

「冒険者登録ですね。かしこまりました。(内容を確認する)名前はリさんですね。職業は魔法使い·····と書かれていますが、その中でも得意な魔法はありますか?」

「そうですね、火と氷ですかね」

「なるほど。一応聞きたいんですけど冒険者になりたい理由はなんですか?」

「·····趣味です」

「·····(書類にハンコを押す)そうですか。(木のタグを机に置く)こちらが冒険者ギルドでの身分証になります。冒険の最中に何かあった時の身元を照合するときにも使いますから、なくさないように」

「はい」

「以上で登録は終わりです。今後の活躍をお祈りしています」

「はい」

「(掲示板に手を向ける)依頼はあちらの掲示板に張り出されます。等級に見合ったものを選ぶのが基本ですので最初は下水掃除、巨大鼠狩り、あとはベテランの方の一党に参加して一緒に·····」


(リは掲示板を見る)


 早速だが。魔法をジャンジャン使いたいよね。掃除は魔法は使えるけど、ジャンジャンは使えない。となると採取·····魔物討伐も一緒にできるだろうけど目的が違うし。一党にいれてもらう? それじゃあジャンジャン使えない。

 そうなると、今の等級で単独討伐のできる依頼·····巨大鼠、鋼蛇、小鬼、鬼兎····。この中で群れで来るのは巨大鼠、小鬼、鬼兎。

(小鬼討伐依頼書を手に取る)


「(小鬼討伐書を受付嬢に手渡す)これやります」

「<いるんですよねー人の話聞かないで魔物の討伐に行く人>(依頼書を手に取る)かしこまりました。無事に帰ってくることを祈っています」


(冒険者ギルドを出る)さて、小鬼。人を脅かし、村を襲ったり、女をさらったりなどの被害をもたらす魔物。単体では最も弱いとれる魔物の一種·····。だが甘い。小鬼は確かに弱い、知性も人間の子供並みというが油断してはならない。


(依頼場所に着く)洞窟か。天井が低い、長物は使い物にならないな。洞窟は下に潜れば潜るほど魔素が少なくなっていく場所もある、ここがそうかは判断できないが魔力の温存はしておこう。

(洞窟の中に入る)うん、暗い。でも安易に松明をつけてはならない。小鬼は夜目が利く、松明をつけるということは小鬼からの視点として敵が来たという合図になる。(壁に立てかけられたトーテムを見る)トーテム·····。微風、横穴か? 暗くてよく見えないが·····あるな。(氷で横穴を塞ぐ)これでよし、後ろからの奇襲はないだろう。

 ·····念の為だ。(鈴をつけた紐を設置する)これでよし。万が一のこともある念には念だ。


 最悪の想定の想定、それは絶対必須だ。·····声が聞こえた。(耳を立てる)声からして1.2.3.4.。位置の把握が確定できない。できないなら音に集中しろ。

 足音、声、小鬼の持つ武器の音、どんな些細な音でも聞き逃さないように。

(岩陰に隠れる)声からして前方に二体。魔法は·····今じゃない。(素早く岩陰から飛び出す)。


「(喉元に短剣が刺さる)ギャアッ!?」

「<まずは1>」

「(後ろから棍棒を振り下ろす)ギィィ!!」

「(攻撃をしゃがんでかわし、蹴り飛ばす)」

「ギャアッ!?(壁に吹き飛ぶ)」


 2体目(棍棒で頭を叩く)。近くに小鬼は·····まだいない。でも物音を立てた、小鬼が確認しに来るはずだ。(短剣を見る)小鬼の血で切れ味が落ちてるな(短剣を捨てる)。小鬼の持ってた棍棒はまだ使える、短剣も2本ある。

(耳を立てる)一体こっちに来てるな。確認か気まぐれか·····。(小鬼の血を服にこすりつけ、岩陰に隠れる)。


「ギィィ?」

「<3体目>」


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