scarpe
@minato_sora
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僕は君を愛している。
雨の日も雪の日だって、僕は君の足元から君を見つめている。
そうするとほら…君も僕を愛してくれる。
僕は君と共にずっといきたい。
君のそばに入れて君に触れることができる。
それだけで僕は幸せだ。
君が歩く、僕も歩く。
出かける時はいつも一緒、どんな場所でも。
でも…
いつも一緒なのは出かけた時だけ。
僕は部屋の中に入れてもらえない。
僕がどれだけ願っても部屋には入れてもらえない。
ただずっと玄関で君を待っている。
次の日になると君はケロッとした顔で僕と共に出かけるんだ。
ねえ、君は僕のことをどう思っているの…?
たまにね、僕を玄関に置き去りにして出ていくことがある。
僕はこんなにも君を愛しているのに、なんで君はそんなことをするの…?
僕以外のヤツと出歩いてそれでいいの?
君の足元を彩るのは僕しかいない、そうだろう?
僕は底が抜け落ちるような嫉妬に溺れた。
でも…
分かっているんだ。
君は必ず僕の元に帰ってきてくれるってことを。
ーーある日
また僕を放って君は行ってしまった。
帰ってきた君は僕を見てこう言った。
「もうボロボロだね」
真っ暗な袋の中で、ただ無機質なモノたちとぶつかり合う中で、僕は君の足音を探した。
僕はこんなにも君のことを愛して、君に尽くしてきたのに。
こんなに僕のことを痛めつけて、ボロボロにして…
でも、分かっているよ。
君の気持ち。
僕のことを大事にしてくれていたのも分かっている。
あぁ…
幸せだったなぁ…
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