宝くじを当てた女性は幸せをつかめたのか?―ある高額当選者をめぐる社会派ミステリー

永田永太郎

第1話 1億円を自宅で撮影し、インスタに載せると主張する女性

思わず聞き返してしまった。


「自宅で現金1億円を撮影し、インスタに載せたいと?」


透明のアクリル板の向こうで、若い女性が背筋を伸ばして座っていた。

お客様である彼女は、しっかり目を据えて、はっきり切り返えしてきた。


「はい。何か問題がありますか?」


「いえ、問題はありませんが…」


そう、たしかに問題ない。

彼女は、サマージャンボ宝くじで7億円を当ていた。


―預金残高7億円のうち、1億円を現金でろしたい―


やはり、なにも問題ない。


「こちらも“今日、いまここで1億円を引き出したい”と申し上げているわけではありません。

銀行さんもお困りになるでしょうから。

でも、なるべく早急に下ろしたいので相談に来たんです」


自分ごときが一人で対応すべきとも思えない。


「少々お待ちください」


私は立ち上がり、深くお辞儀をした。

そして、責任者の席に小走りで向かう。

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