「天神さまの細道」というタイトルから、幻想的な世界観が伝わります。

冒頭に綴られる「通りゃんせ、通りゃんせ」という不気味な童謡や、巨大なザリガニといった、一見ホラーな要素が印象的です。
その中に、他者の幸せを願う献身的な愛が描かれていることに深く感動しました。

夫婦の赤い糸を結び直すため、自らを犠牲にするザリガニの姿は、まさに魂の救済そのもの。ゾクッとする恐怖と、胸を打つ切ない優しさが共存する――忘れられない、美しい物語でした。