あの夏雨の夜に君を想う。

@matigae

雨。

ぽつ

ぽつ

ぽつ。

雨が降る。

あの日君と出会った夏もこんな雨だった。

君は僕の前に突然現れた。

僕のことをよく「敦くん」と呼んで。

暑い夏の中でよく行く駅で待ち合わせをして

二人でアイスを買った。

そのアイスの味は今も忘れたことはない。

君が突然現れた日、ぼくは死のうとしていた。

漠然とした想像できない未来に絶望していたから。

毎日生きるのが辛くて、どこか遠い場所に逝きたかった。

前世は鳥になって大空を駆け巡って

今よりも気持ちよく生きるんだって。

意味わかんないことを考えながら、

いつもの屋上から飛び降りようとしていた。

その時だったね。

君が現れたのは・・・。

僕のことを「敦くん!」と呼ぶ君は、どこか不思議だった。

「はじめまして。」なのに。どこかで会ったことのあるかのような君に

僕は惹かれていたのかもしれない。

これからの君との長いようで短い夏が

始まろうとしていることをこの時の僕は知る由もない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あの夏雨の夜に君を想う。 @matigae

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る